こだわり講師の1日vol.5 勝目先生編

研究室。特に文系で学んだ者にとってはTVなどで目にするイメージしかない未知の世界ですが、実際にはどんなところなのでしょうか。

今回は、現役大学院生、勝目先生の1日に密着し、研究室の様子を垣間見てみましょう。

profile

名前:勝目智也
出身:こだ塾のご近所育ち
担当教科:英・数・国・理
趣味:ディズニー・旅行・ラジオ・スポーツ
マイブーム:美術館巡り・舞台鑑賞
小さい頃の夢:ツアーコンダクター

勝目先生の1日

8時
起床
一時期は毎日夜更かしをしていましたが、最近は早起きを心がけています。
10時半
大学へ
キャンパスは大学時代と同じ場所です。先月特集されていた吉住先生とも同じところです。

研究室は実験をするスペースと、デスクワークをするスペースが分かれています。画像は実験スペースです。

高価な機器が多く設置されており、これは中を無菌状態にして実験を行う機械です。毎日実験をしたり、資料作成をしたり、打ち合わせをしたり…忙しいです。

13時頃
昼食

授業がある日の方が稀なので、他の学生で混雑する時間を避けてご飯を食べに行くことが多いです。大学院生の特権ですね。
コンビニ飯や学食で済ませることもありますが、キャンパスのある高田馬場はラーメン店の激戦区だったりと飲食店が充実しているので、外に食べに行くこともあります。

こだわり塾
こだ塾での授業がある日は、研究室を早めに出ます。ずっと研究のことを考えているのも疲れてしまうので、個人的には授業をしにくるのが気分転換にもなっています。
塾の授業がない日は研究室の同期と、実験終わりに行きつけの飲み屋に行ったりもします。憩いのひと時です。

interview

そもそも大学院生って何してるの?

一言で言うと、研究をしています。小学校〜大学までの授業では、先人の誰かが明らかにしてきた公式を学んだり、現在までの歴史を学んだりしますよね。大学院生になるとそうではなく、まだ誰も分かっていない事、新しい事を解き明かしていきます。

どんな研究をしているの?

僕が所属している研究室では、バイオの研究をしています。バイオといっても広いですが、僕たちは菌やカビなどの微生物を扱って、人間の力では作れないものを作ってもらっています。新しい物質を合成したり、より効率的な合成方法を開発したりしています。

菌って…危なくないの?

正しく扱えば有用で、扱い方を誤れば危険をもたらす可能性がある、と言うのが正確な回答です。例えば、みなさんがイメージしやすいように食品の話をしますと、パンやヨーグルト、醤油やお酒は発酵食品と呼ばれ、人間が微生物の力を利用して作っているものです。一方で食中毒やインフルエンザの原因になるのも、菌やウイルスといった微生物です。
僕たちはバイオのプロフェッショナルとして微生物を利用するための研究をしていますが、同時に実験後は使った器具を滅菌して微生物が外部に漏れないようにしたりと、リスク管理もしっかりと行っています。

研究室とゼミって何が違うの?

文系と理系等、分野によっても解釈は違うと思いますが、化学系の中では、「研究室=毎日実験をしに行くところ」「ゼミ=研究室のメンバーで集まる勉強会や発表会のこと」という使い分けです。
僕が所属している研究室では毎週金曜日にゼミがあり、研究の中間発表をしたり、最近発表された論文を調査&発表したり、教科書を読んで勉強会をしたりしています。

コアタイム(=拘束時間)は決まっているの?遊ぶ時間はあるの?

「10時から17時まではいてください」という研究室が多いのですが、珍しくコアタイムは決まっていません。バイオの研究には、微生物の培養が必要になります。微生物を6時間とか、18時間とかかけて育てなければならず、その間待っている必要があります。時間がかかる&待ち時間が長いことがコアタイムがない理由です。うまくスケジューリングすれば遊びに行く事も出来ますが、逆に朝早くから深夜まで実験することもあります。

女子は少ないの?

意外に思う方も多いかもしれませんが、僕の研究室の同期は女子の人数の方が多いです。女子の大学進学率が上がっていることも背景にはありますが、バイオの研究は食品や化粧品の開発につながる部分があるためか、女子人気が高いように感じます。

教授っていつも一緒にいるの?指示されたりするの?

毎日研究室にいる教授もいますが、僕の教授は忙しいようで、めったに会えません(笑)連絡や進捗報告は基本メールで、会って話をする機会はミーティングや研究発表の時だけです。
研究は、最初こそ教授からテーマを与えられますが、その後は自分の意志で展開させていきます。そのため、教授からの指示を待つというよりは、自分の考えを教授に相談して研究を進めていきます。

発表ってどのくらいあるの?

基本的には先述の通り、毎週のゼミが発表機会であり、何度か順番が回ってくるという感じです。研究の中間発表は年に4回程度です。研究成果が出ると、学会で外部に向けて発表する機会が与えられますが、特にバイオの研究は数年というスパンでも成果が出ることは稀で、卒業までにそうした機会がない人もいます。

卒論って?

大学卒業時の卒業論文、大学院卒業時の修士論文や博士論文は卒業までの研究成果をまとめたものです。それを評価されてはじめて卒業が認められ、学位が与えられます。大きな成果が出たら外部に出版するための論文を別に執筆します。

最後に、後輩達へのメッセージをお願いします

この記事でバイオに少しでも興味を持ってくれたら嬉しいです。僕は、微生物が人間の力では作れないものを作れるところ、99%以上の微生物がまだ培養されていないことなどに可能性を感じてバイオの世界に入りました。利用余地が広く残っている=多くの人の役に立つものを作れるかもしれないと思うとワクワクします。
学生の皆さんも分野を問わず、ワクワクできるようなことを見つけることが大切だと思います。そのためならたとえ嫌いな勉強が必要であっても苦なく取り掛かれるはずです。