私立大学の定員厳格化に端を発し、さらには大学入試改革の影響も考慮し、近年附属高校人気が高まっています。
特に現在中学生の保護者に相当する世代は、“受験戦争”とも称された厳しい経験をしている方が多いこともあり、学歴の担保される可能性が高い附属高校を検討するという動向もうなづける部分があります。
しかし人気が高まるということは、その難易度向上も避けては通れません。では、どのぐらいの学力があれば附属高校進学が可能になるのか、まずは附属を含む私立高校進学の3ルートをおさらいしてみましょう。
ルート① 自己推薦(確約獲得)
模試の偏差値や内申点を参考資料として、各校の定める基準を満たしている場合に可能となるルート。
原則的に各自が各校の相談会等に足を運び、担当者との面談を経て審査、出願、受験の流れ。
よほどのことが無い限りは出願=合格という構図になっており、特に埼玉の私立受験においては本流と言えるルート。
ルート② 学校推薦(単願推薦)
学校の調査書点が各校の定める基準を満たしている場合に可能となるルート。
中学校での通知表=内申点に加え、出席状況や各種学校行事への参加度、部活動実績等々、多角的に評価される。
かつては受験可能=合格というケースが多かったが、近年は学校推薦の場合にも別途学力試験を課すケースが増加中。
ルート③ 一般入試
学力試験の一発勝負で挑むルート。
以前は3科目&マークシートの形式が主流だったが、近年は5科目試験や記述式を課すケースも増加傾向。
各校独自色のある試験内容になることも多い。
これらのルートの中から、自己の到達度や各校の定める基準を照合し、受験校や進学先を定めていくわけですが、現実としては圧倒的に①の自己推薦ルートが本流となっているのは、これまでにもお伝えしてきたとおりです。
しかし、大学の附属高校、特に日東駒専やGMARCHと称されるグループ以上の大学附属になってくると、確約制度を導入していないケースの方が圧倒的多数派で、進学するには学校推薦を得るか一般入試を突破するかの実質2択という状況になっています。
特に、一般入試はもともと高難易度で狭き門なだけに、それほど目に見えて偏差値が上がっているわけではなく、むしろ学校推薦ルートの難易度が年々上昇していることは注目すべき現象です。
高校 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|
A大学附属高校 | 41.5 | 41.3 | 41.8 | 42.3 |
B大学附属高校 | 41.5 | 41.6 | 41.9 | 42.2 |
上表は、両校とも実際の某有名大附属高校の推薦入試合格者の基準です。基本的に推薦基準となるのは内申点、つまり通知表の成績になりますが、その基準は上昇を続け、ついに2019年には42にまで到達しています。
42と言えば、ALL5をベースに3科目だけ4があっても良いという、かなり難易度の高い水準ですが、こうした水準に達することも上の例に限らず決して珍しいものではありません。ちなみにB高校の推薦基準は37。推薦基準を満たしていたとしても、実際に合格できるかどうかとなると、また別の話だということが良く分かります。
では、皆が皆42を獲得して進学しているのかと言えば、実はそうでもありません。
私立高校には加点制度があり、例えば内申が40だったとしても、英検などの検定類取得や生徒会活動に励んだ実績等があれば、その分だけ加点されるようになっており、結果として42点に届けば合格も可能だということになります。
・英検・漢検・数検 各準2級・・・1点
・生徒会役員、部活動部長・・・1点
・部活動県大会以上、3年間皆勤等・・・1点
※上記より最大3点加点
英検にしても生徒会にしても、もちろん部活動やその他の取組みにしても、遅くとも2年生、できれば1年生のうちから長期的視点で取り組んでいかないと、受験年度になってから取り組んだのでは既に手遅れといった事態になりやすい事項です。
実際にそういった学校群を志望することになるかはさておき、いざという時に選択肢が残っているのかどうかでは大きく変わってきます。できる準備はできる時にしておく心がけが求められる、それが高校受験の現実なのです。