予習と復習、どっちが大事

学習は、“予習”“復習”の2つに大分することができますが、そのどちらを重視すべきなのか、お悩みの方も多いと思います。

結論としては、「どっちも大事」というのが本音ではあります。

しかし、ただでさえ1日学校で疲れているところに、部活や習い事など、イマドキの中学生は多忙です。そうした中で、いきなりアレもコレもと求められても、むしろいずれに対するモチベーションも持てなくなるケースの方が懸念されます。

そもそも、予習も復習も同じ勉強ではありますが、その主目的や得られる効果、あるいは効果を得る上で重要なポイントは異なります。

まず予習については、授業で学習する内容をあらかじめ勉強することで、更に理解を深める効果が期待できます。

例えば予習で学習した事がよくわからなかった場合、授業をしっかり聞きながら理解しようと努力できます。見方を変えれば、授業をより効率的に受けるための準備と位置づけられます。

対して復習は、授業で学習した内容を再度学習し直すことで、理解度や定着度を高める効果が期待できます。

人間の脳は私達が想像するほど万能なわけではなく、記憶できる期間にも限りがあり、時間が経つと忘れてしまいます。しかし、忘れる前に何度も反復して確認することで、その定着度を高めることができます。つまり授業内容をより確実にインプットさせる作業と捉えることができるのです。

では、敢えてどちらが重要なのかというと、“復習の方が大事”と言えるでしょう。

予習には、事前に“自分で”学習するスタンスが求められますが、そもそも勉強が苦手な子が、自力で一定の水準以上の理解度を得られるのかという問題がつきまといます。

無理に進めようとしても、分からないから嫌い、やらない、といった悪循環に一層拍車がかかる懸念もあります。

その点、復習は、一度学校で学んだ事項をたどっていく作業が基本になりますので、予習に比べて圧倒的に理解しやすい状況が期待できるからです。

ただし、せっかく復習に取り組んでも、効果が出なければ、そのモチベーションを維持することは困難です。

そこで、効果の出る正しい復習方法について、まずはたった2つだけ、絶対に守って欲しい原則をご紹介しましょう。

① 授業を受けた日&3日後に再復習

残念ながら、一度復習したからといって簡単に定着されるほど、人間の脳に便利な機能は搭載されていません。勉強した内容を肝心な時に発揮させるためには、何度か復習を繰り返す必要があります。

では、どのタイミングで復習に取り組むべきか。下のグラフは、著名な心理学者が発表した忘却曲線と呼ばれるもので、人間がどれぐらいの期間でモノゴトを忘れていくのかを図示したものです。

これを見ても明らかなように、まずは授業を受けた日に1回、そして3日後頃にもう一度復習することで、記憶の定着は飛躍的に向上します。

「せっかくやったのに・・・」という悲劇を起こさないために、最低2回、復習するようにしてみましょう。

② 基礎基本問題を数多くこなす

無理して難問奇問の類に取り組む必要はありません。まずは授業で扱った問題を中心に、基礎基本を確実に理解することに主目的を置きましょう。

特に、普段から勉強習慣がない子は、一度解いたからという理由で、二度とその問題に手をつけない傾向があります。

大事なことは、解いたかどうかではなく、できるようになったかどうかです。その観点に立てば、一度解いた問題、あるいはそのとき正答できた問題であっても、時間が経ってもちゃんと理解し正答できる状態であることが確認できなければいけません。

地に足をつけて、確実に“できる”を増やしていくことを重視してください。