編集長コラムvol.4 学習塾に期待して良いこと

「塾に入れば成績があがる」「塾に入れとけば塾の先生がなんとかしてくれる」等々、これらは学習塾に対する一種の妄信とも言うべき勘違いの一つです。
確かに学習塾の本質的価値、そもそも存在意義として、生徒さんの成績UPは一つの至上命題です。成績上げられませんなんて謳っている塾は世界中探しても出会うのは難しいと思います。
しかし、です。勉強するのはあくまでも生徒さんであり、塾、ひいては講師はそのサポート役に過ぎません。筆者が塾長を努める個別指導「こだわり」塾でも、「塾に入って週に1回や2回授業を受けたからといって、それだけでカンタンに成績が上がるなんて虫の良いことは考えないでください」とハッキリお伝えするようにしていますが、24時間365日ピッタリと張り付いていられるならまだしも、そうでない限りは、主役である生徒さん自身の努力はもちろん、サポーターである塾の存在をどう活かすかというスタンスが不可欠だからこそのメッセージです。
そこで、成績が伸びる生徒さん、志望校に合格を果たした数多くの生徒さん達の例も振り返りつつ、塾に何を期待し、どう活用していくべきなのかのポイントについてご紹介しましょう!

実行すれば塾活用名人!その① 学習管理

ヤル気がないわけではないものの、いざ机に向かっても何をすれば良いのか、自分がやっていることは正しいのか不安もあって、結局手が止まりはかどらない。気が付けばスマホに手が伸び・・・当時のAさんは勉強習慣がない子の一つの典型例でした。
そこで、保護者の方に手帳のコピーを用意してもらい、1ヶ月単位で毎日どの科目を、どの教材のどのページを学習するのか、一緒になって綿密に計画を立てました。もちろん、使用教材は塾に常設してあるものを採用し、つまり塾の自習室で勉強することを毎日のノルマとして課したのです。(結果は秋頃から一気に上昇気流に乗り、無事に志望校合格)
某高学歴者向けのアンケートにおいても、最も大事なのは学習の計画性であり、塾の活用法としてはそういった“学習の進め方”を習得するところにこそ真髄があるという旨の結果が出ていました。
どうしても1問1問の解き方をレクチャーしてもらうことにフォーカスされそうな塾の活用法ですが、まず最初に取り上げたいのはむしろ、様々な成功事例に基づく学習管理法のエッセンスに触れられることにこそあると考えます。

こういうスタンスはNG!
そもそも立案した計画がしっかり遂行されなければ元も子もない話です。また、いつまでも管理をしてもらっているようでは受動的になり、いずれ頭打ちになります。
学んだ学習計画の立て方をしっかり活用し、自ら自発的に計画・管理できるような能動的なスタンスを身につけることが、効果を得る必要条件です。

実行すれば塾活用名人!その② 進路指導

受験生になってから“譲れない”と思えるほどの志望校に出会い、メキメキと力をつけていったB君。しかしネックになっていたのは、特に1・2年次の内申点でした。塾の進路指導においても不安要素として共有していましたが、より安全思考の進路指導をする中学校においては“不可能”“志望校変更”を警告されるほどでした。
それでも当時のB君の想い、そして成長曲線も鑑み、塾では“見込み有”の判定。本人も諦めずに最後まで努力を重ね、結果見事に大逆転合格を果たすことができました。(中学校の先生も一様に驚きの表情を浮かべていたそうです)
近年こそ、中学校も進路指導における立場を少しずつ取り戻しつつありますが、今でも塾には各種の受験情報が集約されています。また、もとより変化の激しい私立高校だけでなく、公立高校入試においても選択問題の導入、川口市立の新設などに伴い、その難易度に地殻変動とも呼ぶべき変化が生じており、内申偏重かつ経験則に依存しがちな中学校よりも、緻密なデータ分析に基づく進路指導が可能な塾の存在意義は、むしろますます高まっています。
情報迷路をさまようことになりがちな受験生親子にとって、塾の情報力や分析力は心強い針路を示してくれる存在になるはずです。

こういうスタンスはNG!
目安の偏差値や内申点などは各塾によって考え方が異なるので要確認です。例えば一般的にB判定とされるような水準で推してくるのか、あるいはC判定のように際どいところでも推してくるのか。その辺りのポジションに対する考え方は異なりますので、受動的に判定のみを受け入れるのではなく、具体的なポジションをしっかり確認するようにしましょう。
なお、中学校の進路指導は“落ちない指導”には定評があり、まず間違いないA判定ラインで推してくるのが一般的です。

実行すれば塾活用名人!その③ チューター

部活の事情もあって週に1コマ、国語のみの受講だったCさん。それでもマジメにコツコツ努力の出来る子で、塾に通い始める前から成績上位の優秀層でした。そしてこだわり塾に通塾開始後は、5回連続定期テストで学年トップを連覇するように。繰り返しますが、受講科目は国語1科目だったにも関わらずです。
その秘訣は、毎日必ず部活が終わると自習にやってきては、英語・数学・理科・社会、科目問わず納得できるまで講師を質問攻めに出来るスタンスにありました。Cさんがやってくる時間になると、質問対応で全く自分の仕事ができなかった当時を今でも思い出します(笑)(もちろんトップクラスの志望校に合格しました)
授業以外の時間=自学をどう充実させるのかは成績UPに不可欠なテーマの一つです。そこに際しては、日々の学習を自宅でするのか、あるいは塾でするのかも様々な意見が交わされるところですが、筆者は基本的に塾の自習室活用をオススメしています。理由は明確で、困ったときに調べたり聞けたりする環境が整っているからです。
ここで一つの条件になるのが、チューター、つまり困ったときに質問できる存在の有無です。自分で勉強しているだけではあくまでもスペース借りの域を出ません。教材を活用するだけでは図書館となんら変わりません。塾の活用度は、空間や設備だけでなくそこにある人=講師という存在をどれだけ活用できるかで大きく変わってくるのです。入塾時にも必ず確認するようにしましょう。

こういうスタンスはNG!
聞いて分かった気になって満足・・・これは勉強量はこなしているようで、実は結果が出にくい典型的なパターンです。学習には“分かる”の先に“できる”というステップがあり、それを上るためには聞きっぱなしではなく、実際に自力で解けるのか、妥協無く演習を重ねるスタンスが欠かせません。