公立高校入試「内申点」の仕組み

「内申点」。言葉だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。埼玉県の公立高校入試の合否は、
①本試験の得点
②調査書点
の合算で評価されます。前者は誰もがイメージするとおり、5科目の当日の試験の得点であるのに対し、後者は事前に中学校から高校へ提出される資料(=調査書)が得点化された、いわば試験前に確定している持ち点です。そしてこの内の大部分を占めるのが「内申点」なのです。

内申点は、各学年の9科目の評定の合計(9科目×5段階評価=45点満点)です。後に詳しく解説しますが、実はこの内申点、1年生から3年間の評定が得点化されます。そこに生徒会活動や部活動などの特別活動が得点化されて加算され、中学校生活の総合得点として調査書点が評価されるのです。

先述のとおり、公立高校入試の合否は、本試験の得点と調査書点の合計で判断されます。単純な例ですが、当日の試験が同じ点数であれば、調査書点の高い方が合格となりますし、また当日の得点が少し足りなかったとしても、調査書点の差で逆転合格ということも往々にして起こり得るのです。

内申点の評価方法

内申点の評価方法を具体的に見ていきましょう。

内申点は3年間分が得点化されます。と言うことは、1年生の成績から入試の得点になるということです。ただし、多くの学校では、学年ごとに傾斜配点を設定しています。例えば「1年:2年:3年=1:1:3」という具合にです。

2018年度に新設され人気を集めている川口市立高校を例に見ていきましょう。川口市立高校では、下図のように335点の調査書点の内、内申点が223点、その内訳は「1年:2年:3年=1:1:2」となっています。

各学年45点満点の評定が、1・2年生は約56点ずつ、3年生は約112点に換算されて合否の判定に用いられるのです。ということは、中学3年生になって「よし、受験勉強だ!」と意気込んだとしても、その時点ですでに、112点満点分の点数が確定してしまっているのです。

以上のことから、「受験生=3年生」というイメージは、埼玉の高校入試では全くの誤解。1年生の成績から受験に反映される、つまり、1年生の1学期の中間テストから受験は始まっているということが言えるのです。

内申点が合格水準に足りず、偏差値は届いているのに結果として志望校を諦めざるを得ないというケースは、残念ながら毎年生じる現実です。

日頃の学習習慣、そしてその成果としての定期テストの重要性について、改めて認識する機会になればと思います。