編集長コラムvol.41 伸びる子の家庭環境

夏休みに突入し、特に受験生や保護者の方々は志望校合格に向けてストレスと向き合う日々を過ごしていることでしょう。

もちろん、そうしたことは受験生親子に限ったことではなく、低学年親子にしてもいずれ通る道・・・いえ、もしかすると“その時”に向けて既に現在進行形でお悩みな日々を過ごしておられるのかもしれません。

さて、筆者の運営する個別指導「こだわり」塾も、すでに10年目の節目に突入し、これまでに様々なお子様やその保護者の方々と接してきました。

そういう中で、「ホメ上手」をはじめとして伸びる子の家庭環境における共通点も様々に見てきました。

そこで今回は、筆者なりに「こういうところにヒントがあるのかも!?」と感じた伸びる子の家庭環境についてポイントをご紹介していきます。

親が趣味を満喫している

親が趣味を満喫している姿を子供が見ることにより、子供も趣味を真似します。すると子供も趣味を通して学ぶようになるのです。

例えば、勉強観点で真っ先に思い浮かぶのは読書でしょう。

読書が好きで、子供の前でよく本を読み、内容を聞かせると、子供も影響されます。大切なのは強制しないこと。間違っても「本を読めば国語ができるようになるわよー」などと押しつけがましくメリデメを諭さないことです。

理屈などどうでもよく、本が楽しそうだと思えるようになれば、勝手にその世界にはまっていきます。

実際、伸びる子は親と同じ趣味を楽しんでいるというケースが意外と多かったりしますし、共通の趣味があれば家族仲にも良い影響が期待できます。

そういえば、決して勉強のできるタイプではなかった筆者も、読書好きな母親の影響で本だけは良く読んでいましたし(三国志などの歴史本ばかりでしたが)、振り返ってみれば語彙力や速読力をはじめ、その効果は小さくなかったと実感します。

子供の帰宅時間に親がいる

共働きを否定しているわけではありません。かく言う筆者も夫婦共働きです。

少々反感を買いそうな表現になりましたが、要は子供と接する時間をどれだけ取れるかが大事ということで、子供が帰宅する時間に親がいるということは、単純にそれだけ接する時間が増えるということです。

もちろんただ接する機会が増えても、接し方がダメなら意味がありません。やはり大切なのは褒める機会につなげられるかどうか。

共働きであっても、子供と接する時間を最大限に取り、よく親子で話す家庭の子は伸びやすいです。そしてこれは、認証する時間が増えるからだと考えられています。

認証とは、相手を認めてあげることです。

例えば、学校から帰って「今日テストで80点取ったんだ!」と話してくれたら、「すごいじゃん!頑張ったね!」の一言で良いのです。

最悪なのは他者比較をして認証のチャンスをふいにすること。間違っても「学校のテストなんて範囲も出てるから当然でしょ?A君なんていつも90点らしいじゃない?」などと、それなら働きに出て塾代を稼いだ方がマシ(苦笑)なんて回答をしないよう注意してください。

目標設定は非現実的でOK

目標設定にはスモールステップが有効という話も良く聞きますが、それは目先の目標の話。少し先の目標を見据えるならば、むしろ大胆なぐらいの方が伸びますし、事実、伸びる子ほど実力不相応なところを平気で目標にします。

大切なのは目標自体よりも、そこへのステップを親がどう評価するかです。ポイントになるのは、どんな小さな一歩でも、そこに近づいたことを必ず認めること。

例えば偏差値60の学校を目指しているとして、現在の偏差値が50だとします。もし次の模試で偏差値が51になれば、それはそれで大いに褒め、認めましょう。

偏差値1は、もしかしたら誤差の範囲かも知れません。しかしそんなことは関係ありません。

積み重ねられるのは地道な学習成果だけでなく、ホメられた経験も立派に蓄積されていきます。そしてそれは、子どもたちの経験値になって活きていきますし、事実、当時は遥か彼方にあった“大胆な目標”が気付いた時には・・・というタイプこそ、得てしてそういったプロセスを踏んでいるものです。