総合型選抜入試(旧AO入試)とは?

総合型選抜入試は旧AO入試のことで、近年一般受験に代わり、主流になりつつある大学入試形態です。

しかし、名称が変わっても、受験生目線ではいまいちその実情が依然わからないまま、という方が多いのではないでしょうか。

今回は、総合型選抜入試について解説します。

1.総合型選抜入試(旧AO入試)とは?

令和3年4月入学者の試験から、「AO入試」は「総合選抜型入試」に名称が変更されました。しかし、文部科学省の資料を見る限り、AO入試と特に変更点はありません。

ではわざわざ名称を変えてまで何を改革しようとしているのか、その背景には、文部科学省の「高大接続」という思想があります。

現代は、グローバル化やAIをはじめとする技術革新により社会構造が急速に変化していき、将来の予測が非常に難しい時代です。急速に変化する時代の中でも生き抜くことのできる人材育成ができるようにと、高校-大学における一体的な改革が行われています。「センター試験」が「共通テスト」に変わったのもこの改革の一環で、過去2回の共通テスト実施の中で、出題傾向一つとっても鮮明に変化の兆しは見られます。

しかし「知識・技能」などの学力ももちろん大切な要素ですが、これからの時代それだけでは不十分です。学力に加え「主体性・多様性・協働性」を持つ人物も必要不可欠です。

ところが、それらを正しく見極めるには、通常の学力検査ではやはり不十分。そこで導入されたのが、最近名称が変更されたAO入試なのです。

2.何を見られるの?

文部科学省の資料によると、

詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適正や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する入試方法。

  • 知識・技能の修得状況に過度に重点を置いた選抜基準としない。
  • 大学教育を受けるために必要な基礎学力の状況を把握するため、
    1. 各大学が実施する検査(筆記、実技、口頭試問等)の成績。
    2. 大学入試センター試験の成績。
    3. 資格・検定試験等の成績。
    4. 高等学校の教科の評定平均値。

    のいずれかを用いることが必要。

  • と書かれています。

    注目したいのが、
    「入学志願者の能力・適正や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する」の部分です。

    当たり前ですが、求められる「能力・適正」は、学校によって異なります。「目的意識」についても、学校側がどのような目的をもって入学してほしいのかは、学校によります。

    すなわち、学校の求める人物像や目的をしっかりと把握する必要があり、学校の定めるアドミッションポリシーと自分とを慎重に比較しなければいけません。

    他にも、
    「知識・技能の修得状況に過度に重点を置いた選抜基準としない。」
    と書いている通り、一般受験の選考基準とは一線を画していることが分かります。

    知識・技能以外でどのようなことを基準にするのかは、学校によって全く異なりますが、学力以外で他人と差別化してアピールするというのは、ある意味ではかなりの難問です。

    それに、引用文の続きにあるように、基礎学力もしっかりと評価されるので、学力が必要ないといった偏見と油断は禁物ですね。