共通テストが難しくなったのは想定内!?

今年1月に実施された第2回大学入学共通テストで出題された数学は、第1回に比べて大きく平均点を下げることになりました。ここでは、問題の難易度が適切だったかどうかではなくなぜ得点できなかったのか、その背景にある事情を考察することで、次回以降の攻略の糸口を見出していきましょう。

センター試験からの大きな転換

共通テストの数学が終わった直後から、SNS上では「隣の女子が泣きだした」「問題用紙を破っている人がいる」といった悲痛な書き込みが相次ぎました。なぜこのような事態になったのか、一番大きな理由に挙げられるのが、結果的にセンター試験からの急激な変化を避けた第1回の内容から、旧来の勉強法でもある程度対処できるという誤解を招いたことでしょう。

逆に結果はともかく想定できていたと異口同音に語られるのは、これまでの試行調査(プレテスト)で示されていた、あるいは新指導要領が示唆する方向性が、2回目になって明確に表れた問題だったという点です。

その方向性とは、従来のセンター試験では「定式化された問題を正確に速く解く」ことで対策がある程度可能だったのに対して、「いかにして定式化された問題にたどり着くか」を要求される点です。

実はこの点は、以前から文部科学省での高大接続に関する議論の場で繰り返し表明されてきたことです。つまり今回の過去最低レベルの平均点となった背景には、教育現場や受験生がこうした転換に対応しきれていなかったことが主因として考えられるのです。

解き方ではなく本質的な理解力が要求される

数学を「単なる計算で終わらせない」という方向性は理解できるものですし、そうした方向に進むべきであるとも思います。つまり、平均点が低すぎたことは問題かもしれませんが、今回明確になった基本的な方向性は、これからも継続するのではないでしょうか。

事実、具体的な問題から数学的事象を抽出することや、数学的活動を振り返って本質を取り出し、普遍化したり具体化したりすることは、東京大や京都大といった難関大の2次試験では、既に従来から求められてきたものです。

問題文から条件を読み取る、与えられた構想に基づいて思考するといった共通テストが目指す方向性が明確になった以上、これまでの過去問依存の学習法では限界が生じます。

数学的な本質まできちんと理解しようという学習スタンス、さらに加えて、データの分析や確率、整数の問題で象徴的な面倒な計算への対応力養成という課題といかに向き合うか。

次回の共通テストへの戦いは既に始まっている中で、数学利用の受験生にとっては、むしろ相対すべき課題が明確になった第2回の共通テストだったと言えるでしょう。