北辰テストとは何か?

埼玉県で高校受験年度を迎えれば、”北辰テスト”という言葉を必ず一度は耳にするはずです。

当然、一模試である事に変わりはありませんが、かといってごく一般的な、大学入試や全国規模の有名な模試と同じものだと思い込んでしまうのは非常に危険です。埼玉県ならではの入試制度が、北辰テストという模試の重要性と複雑さを増す原因になっているからです。

そんな北辰テストに関しては、学校をはじめ、塾、インターネットなど様々な所に情報が掲載されていますが、むしろ情報過多であるが故に何が何だかわからなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。

しかし、初めて受験を経験する生徒自身はもちろん、保護者としても、その仕組みと重要性を理解することは必須で、それが今後の受験結果に直結してくることは間違いありません。

そこで、「北辰テスト」の概要とその重要性、成績表の見方や確約について、それから今後の変化についてまとめました。

北辰テストとは

どんなテスト?

北辰テストは埼玉県内の主に中学校3年生を対象にした模擬試験で、毎年4月〜1月までの間に計8回に渡って実施されます。

特に後述する受験制度の関係もあり、7月に実施される第3回から12月に実施される第7回までの回は、公立志望か私立志望かを問わずほぼ全ての中3生が毎回受験することになります。

内容は「国語・数学・英語・理科・社会」の5教科で、出題範囲は学校の進捗に合わせる形で徐々に広くなっていきます。

なぜここまで重要視されるのか

これだけ見ると、一見ただの模試に思えるのも仕方ありません。しかし、繰り返しになりますが、北辰テストは高校受験において非常に重要な役割を担っています。

それはなぜでしょう?すでにご存知の方は多いかと思いますが、「確約」という制度が大きく影響してくるからです。確約というものを言い換えると、「模試の結果によっては、うちの高校(私立限定)への合格を約束してあげましょう」というものです。他県の人から見れば、なんて夢みたいな制度なんだ、と思う人もいるかもしれませんね。

この「確約」制度に関しては、詳しくまとめた記事があるのでこちらを参考にしてください。

北辰テスト。それはつまり、模試ではなく入試です(2021)

北辰で結果を残した。さあ確約をもらいに行こう

確約制度の存在によって、北辰テストが実質的な入試としての側面を備えていることが理解できれば、単なる模試としてのイメージは捨て去り、対策に勤しむしかありません。そして勉強を頑張り、アナタは見事に北辰テストで好成績を残すことができました。

ではアナタは、具体的にどんな手順で確約を取得すれば良いのでしょう。中学校の先生がやってくれる?電話をする?直接学校に足を運ぶ?

正解は、直接学校に足を運ぶです。その具体的な手順も、記事にまとめてあります。ぜひこちらを参考にしてみてください。

私立確約事情2021

テスト内容

テスト自体はどんなもの?

テストの出題形式としては、埼玉県の公立入試を模した形式で出題されます。第7回からは学力検査問題と選択問題に分かれるぐらいで、第6回までの回も両者を融合した大問数、問題形式になっており、時間割は公立入試本番と同じです。

難易度も公立高校入試とほぼ同じレベルで、基礎的な内容からかなりの高難易度まで幅広く出題されます。

ただし、詳しくは後述しますが、近年は指導要領の改訂や大学入試における共通テストの導入なども影響し、出題傾向や難易度にも少しずつ変化が現れているので要注意です。

成績表の見方

テスト前の勉強、テスト本番ももちろん大事ではありますが、そこから得られた結果を次にどう活用するか、年間に最大8回も受験するテストですから、これも重要な要素です。

定期テストでも同じことが言えますが、皆さんはテストを受けて受けっぱなしなどということはありませんよね?それでは何も成長しません。前回のテストの結果を踏まえて、できていなかった所を改善する事によって成績UPにつながります。

しかし、いきなり成績表をうまく活用しろと言われても、成績表には様々な数字とデータが載っているわけで、どこから見ればいいかもわからない人もいるかもしれません。

北辰テストの成績表の見方については、以下の記事を参考にしてみてください。

北辰テストの成績表活用術

今後北辰テストはどう変わっていくのか

約70年の歴史をもつ北辰テストですが、出題傾向や難易度などは毎年徐々に変化していっています。

特にここ数年は、指導要領の改訂や大学入試改革の影響が公立高校入試に及び、それは当然北辰テストにまで及んでいます。英語と数学を例に象徴的な点を見ていきましょう。

英語

英語においては、「会話文」が重要視される流れにありますが、北辰テストにおいても問題構成が会話文を中心としたものに変化しています。文法問題も会話文の中から出題され、最後に出題される英作文も会話文に関連した問題となっています。ですから、これまではそこまで重要視されてこなかった”会話表現”の重要性も以前より増してきています。

数学

数学では、文章題形式の出題が増え、さらには問題文の長さも長文化しています。つまり、数学力に加えて国語力までもが求められるようになっています。近年、埼玉の公立入試に限らず数学試験の難化を耳にする機会が増えていますが、こうした変化もその一因になっていると言えるでしょう。

また、こうした変化は理社など他科目にも明確に表れており、今後の傾向にも注目です。


北辰テストの出題範囲や形式、難易度などについての情報は今後も定期的に発信していく予定です。ぜひチェックしてみてください。