中学英語を一変させる!?ラウンドシステムとは?

文系理系を問わず必須の科目と言えば、当然英語です。
英語力を問わない受験は皆無に近く、英語力強化推進の方針も相まって存在感は高まるばかりです。

そんな中、昨春から川口市で導入された新教科書、および新指導方式は
従来のものと一線を画す方式でテスト内容にも大きすぎる変化が生じました。

どう変化し、それに対してどう備えていくべきなのか。
これからの英語学習の在り方を検証してみましょう。

昨春、新指導要領の適用に伴い新たな教科書が使用されることになりましたが、実はこの教科書、例えば英語だけでも7社もの採択された教科書があります。

つまり、一概に英語の教科書と言っても7種類の教科書があり、各自治体によって使用している教科書は異なるのです。

実態としては、東京書籍(NEW HORIZON)、開隆堂(Sunshine)、三省堂(NEW CROWN)の上位3社で約8割のシェアを占める為、いずれかに馴染みのある方も多いでしょうし、いずれの教科書も指導要領に即した内容なので、掲載内容自体に大きな違いはありません。

ただし、それぞれのコンセプトに応じて、構成や「適した指導方法」には特徴があります。

そして昨年度より川口市で採択された教科書は、それまでの東京書籍のものではなく、国語の教科書で馴染みのある方も多いでしょう光村図書のもの(Here We Go!)であることが、そのコンセプトから大きな波乱要素になりかねない状況を生んでいるのです。

ラウンドシステム!?

新指導要領において明確に強化方針の示されたことの一つが、英語の4技能強化です。

これまでのように、中・高・大と10年間学習し続けても満足にコミュニケーションを取れるようにならない現状を問題視し、「読む」「書く」「聞く」「話す」をバランス良く育成しようというものなのですが、今回採用された新教科書は、中でも「聞く」「話す」にフォーカスしたものになっており、それがゆくゆく受験戦線においての懸念となっているのです。

詳細は学校によって運用方法が異なる部分もあるでしょうが、基本的にはリスニングや音読を何回、何十回と重ねながら、教科書を何周もして習得を目指すというコンセプトと、それに基づいた構成になっています。そこで懸念されるのが、逆に「読む」「書く」といった文法的要素にどこまで手が回るのかという点です。

昨年、特に低学年を中心に定期テストではリスニングの絡む出題が7割超となるなど、これまでとは明確に異なる傾向を打ち出してきた学校や学年も表れましたし、センター試験に代わって導入された共通テストでもリスニングの大幅な配点増が話題となりましたが、一方で、埼玉の高校入試戦線におけるリスニングの配点は依然として3割弱、文法志向の強い構成は変わっていません。

多くの学校では、3年生に関してはひとまずこれまで通り文法重視の学習が進められており、新システム導入の成否が明らかになるのはもう少し先、具体的には来年か再来年のことになりそうです。

しかし、「聞く」「話す」偏重型で、十分な文法理解を得られないまま受験戦線に臨む世代の結果が表れる時、従来型の指導を受けてきた他地域の受験生との間にどのような差が生じるのか、期待もある一方で不安はやはり拭えません。

事実、学校の授業で文法的根拠を全く理解しないまま進んでしまっている生徒が続出しており、その補填を全て塾で行わざるを得ない状況も現実のものになっています。

ある意味では、従来型の文法的理解、つまり受験対応型の英語教育は、これまで以上に塾に依存する部分が大きくなるかもしれません。