2月24日に実施された埼玉県公立高校入試学力検査。ここ数年は大学入試改革の影響もあってか、新傾向の出題が続いたことで各方面に大きな驚きを伴う結果が続きましたが、新指導要領適用の初年度にあたる今年も、更なる傾向の変化はあったのでしょうか。科目毎にポイントをご紹介していきます。
英語(学力検査問題)
- 難易度:昨年並(昨年度平均点51.4点)
- 総括:
大問構成に変化はなく、過去問慣れしておけば、安定して力の発揮できる内容。ただし、指導要領改訂に伴う新出分野から「現在完了進行形」に関する出題があった点は次年度への注意事項。 - 注目ポイント:
会話文が増加しているのは近年の傾向。次年度以降もこの傾向は続くものと推察される。
数学(学力検査問題)
- 難易度:やや難化(昨年度平均点62.2点)
- 総括:
問題量は変わらず、難易度自体に大きな変化はないが、例年よりも時間を要するような説明・証明問題が増えた。 - 注目ポイント:
コロナ禍の処置で昨年は除外された「三平方」「標本調査」が復活。新指導要領適用に伴う新出事項の「箱ひげ図」も出題されるなど、出題単元という観点では昨年とは少々異なる形に。
国語
- 難易度:難化(昨年度平均点68.7点)
- 総括:
大問構成に変化はないが、全体に文章の抽象度が上がった。作文も資料数が2つになるなど論点を整理しづらくなった。 - 注目ポイント:
大問3の論説文テーマは「倫理」。中学生にとっては取っつきにくいテーマであるだけに、ここでの記述力は差の要因に。
理科
- 難易度:昨年並(昨年度平均点56.2点)
- 総括:
近年の傾向と同様、資料の量、記述量ともに多く、難易度への対応力以前に、適確に問題文を理解しまとめる力が求められる。 - 注目ポイント:
資料の量は多いが、回答する上でのヒントも問題文や資料の中に多く含まれており、丁寧な読解力が要求される。また、計算を求められる問題も一定数あるが、計算自体は平易でも、式を立てる上での情報収集を落ち着いてできたかがポイント。
社会
- 難易度:昨年並(昨年度平均点62.6点)
- 総括:
大問構成、出題内容、難易度ともに例年通りで、近年最も安定傾向にある科目。 - 注目ポイント:
海外の歴史に関する出題や、公民分野では経済関連の問題が増加するなど、幅広い知識が要求されるようになっている。
英語(学校選択問題)
- 難易度:昨年並(昨年度平均点61.6点)
- 総括:
文章量が非常に多く、英問英答形式の出題もあるため、素早く的確に英文を読み取る力が必要。出題パターン自体は固定化されてきている。 - 注目ポイント:
難易度は高いものの、受験者層を考慮すれば差はつきにくいレベル。スピードと記述力の差が得点差に直結!なお、指導要領改訂に伴う新出分野からは「仮定法」に関する出題有。
数学(学校選択問題)
- 難易度:やや難化(昨年度平均点56.0点)
- 総括:
基礎問題は少なく、特に図形分野はアプローチに時間を要しそうなものも多く、難易度的にも時間的にも余裕のないケースが多かったと思われる。 - 注目ポイント:
計算問題をはじめ、取るべき問題を手堅く取りきる正確性は大前提。また文章題も長文化しており、時間配分の観点からも取捨選択する戦略的アプローチが一層不可欠に。