編集長コラムvol.36 アプリ学習の効用

最近はAIなどの新技術も随分と一般化し、その波は教育業界にも浸透してきました。優秀な講師陣による高品質な授業動画をはじめ、本当に有益なコンテンツが増えてきたと感じます。

また、料金的にも利用しやすいものになっていることが多く、コロナ禍の不安も相まって、塾ではなく教育アプリでという判断をされるご家庭も増えています。

ただし、そうしたコンテンツだけで思うように成果を得られている層がどれほどいるかと言えば、実は疑わしい部分もあるというのが、実際に現場で子供たちと接している者としての率直な感想です。

では、高度なシステムに高品質な授業を安価で利用できるにも関わらず、そう感じる理由はどこにあるのでしょうか?

結局は使いこなせるかどうか

これは実際に通塾という手段を選択された方々の生の声が、最も本質を突いているのではないでしょうか。一例を挙げてみましょう。

静かにスマホを見ていると思っていたら、授業動画じゃなくyou〇ubeだった・・・あの瞬間にこの子のペースに任せちゃダメだと確信しました。
うちの子はちょっと目を離すとサボるので監視の目がないと・・・。とは言えウチは共働きですし、塾に行ってくれた方が逆に安心なんです。
動画を見て理解できるだけの理解力がまだなくて、ただ見てるだけになっちゃって・・・。それに質問されてももう難しくてこっちも教えられないですし。
やる時はやるんですけど、続かなくて・・・。やっぱり一定頻度で進捗管理もしてくれて、時には厳しい言葉もかけてくれる存在が必要みたいです。

つまり、マジメにコツコツと、成果の期待できるような有効な使い方をできておらず、また見方を変えれば、それをしっかりマネジメントしてくれる存在が不可欠。そういう層が、特に小・中学生にはまだまだ圧倒的に多数派だということです。

例えば、カリスマ講師陣のタレント化でも有名な某〇進グループが、あれだけの成果を挙げ、また支持されているのも、利用者が主に高3、あるいは1・2年生にしても高い志で目標へ突き進む意欲の高い層であり、同時に一定の理性を持って勉強と向き合えるだけの精神年齢に達していることも大きいというのが、要因としては非常に大きいと考えます。

某有名コンテンツを導入している他塾の話を聞いても、それが有効に機能するには利用状況をしっかりマネジメントしてあげることが、特に小学生や中学生の段階では不可欠とのこと。

同じ学習コンテンツであっても、やはり対面型の塾と、そうでないアプリでは本質的に異なるものだという認識と、どう活用して相乗効果を生むかという考え方が不可欠なのです。

塾に通っていればOKという時代でもなければ、アプリだけで完結できる層も限られている

塾は塾でチューター制度や自習室の存在など、きめ細やかなサービスでアプリ以上のサービス体系を整えているところも少なくありません。

アプリにしても、チャット機能で気軽に質問や相談できるケースもあります。

結局のところ、一人ひとりの課題や性格、そして今現在有している環境に応じて、適した学習“手段”のポートフォリオを組み上げることが最も理想的な手段と言えるでしょう。

つくづく、学習成果を挙げるための一本道など存在しないと痛感します。