年が明け間もないですが、共通テストが終了し、私立高校入試も続々と実施されるタイミング。ゆえにこの時期、公立志望者でも国語・英語・数学の3教科ばかりに時間を割いてしまい、理科社会がおろそかになっていませんか?
受験生に限らず、「暗記科目だから直前でも大丈夫」といった考えは非常に危険です。人間の記憶は、私たちが思っている以上に脆く、丁寧なメンテナンスが必要なのです。
今回は、記憶のメカニズムにも触れながら、知識を定着させる効率的な方法を紹介します。
1. 短期記憶と長期記憶
まず、短期記憶と長期記憶についてです。
短期記憶
短期記憶とは、比較的短い時間保持できる記憶です。
短期記憶は、保持できる情報量・時間ともに非常に小さいのが特徴です。情報量は7個程度、時間は数十秒と言われています。
「テスト直前に頑張って覚えた英単語が、本番で数個しか書けなかった。」といった経験がある方も多いと思いますが、これはまさに、英単語が短期記憶として記憶されてしまっていることに原因があります。
長期記憶
一方、長期記憶とは、短期記憶の繰り返しにより、より長い時間保持できるようになった記憶のことです。
長期記憶は、勉強をする人にとっては夢のような素晴らしい特徴を持っており、記憶できる情報量は無限、保持できる期間もほぼ一生、おまけにいつでも取り出し可能なのです。
身近な例でいうと、母国語や自分の名前などがこれにあたります。
しかし、長期記憶を得るのは一朝一夕ではありません。物事を記憶すると、最初はすべて、数十秒しかもたない短期記憶として保持されます。
記憶力の良し悪しは微々たる誤差でしかなく、結局は短期記憶をどれだけ長期記憶に変換できるかということが大事になってきます。
2. 長期記憶にするための効率的な方法
エビングハウスの忘却曲線というものを知っていますか?次の図のように、時間経過に対する記憶保持率を表したグラフです。
グラフから、20分後には42%の記憶が、1時間後には56%の記憶が失われていることが分かります。直前の詰め込みで得た知識がいかに脆いかがわかりますね。
この忘却曲線をもとに、最適な復習のタイミングを調査した研究があります。
カナダのウォータールー大学の研究によれば、1か月間記憶保持率を100%に保っておくには復習の機会を下記の通りにとるだけで十分とのこと。
知識を得てから24時間以内に10分。
次の復習は1週間以内に、たった5分。
その次は1か月以内に、わずか2~3分。
復習を繰り返すたび、それに必要な時間と頻度は少なくなっていき、やがて長期記憶に変換されていきます。まとめて一気に詰め込むよりも、頻度良く反復していくことの重要性がわかりますね。
3. まとめ
今回は、短期記憶と長期記憶の違い、そして、短期記憶を長期記憶に変換する効率的な方法を紹介しました。
復習のやり方がわかってしまえば、暗記科目はとても「コスパの良い」科目だと思えるのではないでしょうか。
隙間時間に復習する時間をつくるだけで、十分効果的な学習になります。
特に受験生はこの時期、時間と効率を意識して勉強を進めていかなくてはなりません。だからこそ、今回の記事を参考に、効率を重視して学習計画を見直してみてはいかがでしょうか。