文系の人間からすれば、理系研究室と言えばドッカン爆発の起きるような失敗を重ねていたり、ドラマ「ガリレオ」のようなクールな日常が展開されている・・・そんな漠然としたイメージですが、実際のところはどうなのでしょうか?
もちろん、学部学科、あるいは研究テーマによる部分が大きいですが、少しでもその実態に迫るべく、理系研究室で日夜研究に勤しむこだわり講師にインタビューしてみました。
なんて学部のなんて研究室に所属しているんですか?
理工学部応用化学研究科 天然物有機化学研究室という、むしろ“?”の深まりそうな名前の研究室に所属しています。
全くイメージできないので、もっと分かりやすく説明お願いします(笑)
普段飲んでいる薬(解熱鎮痛剤など)のもとになるものを、化学の力を使って作っています。薬になりそうなものを何年かかけて作ったら、実際に効くかどうかを細胞で実験します。
なんとなく、どういう研究をしているのかは分かりましたが、なぜそのテーマを選んだのですか?
薬というのが身近な存在で、人の役に立つというイメージが持ちやすかったからです。また、薬(複雑な構造をもつ分子)を化学の力でつくってみたいと思ったからです。
素晴らしい志だと思いますが、そういう動機って大学進学してから?それとも中学とか高校とか早い段階からあったのですか?きっかけは?
具体的に研究の内容を決めたのは大学3年の頃なので、大学に入って勉強を進めていく中で志すようになったというのが実態です。ただ、中学生の時に福山雅治主演の「ガリレオ」というドラマをみて、科学者に対する漠然とした憧れはありました。
やっぱりガリレオなんですね(笑)ところで、やっぱり理系は院進学したほうが良いですか?メリデメもあると思いますが、率直なところを教えてください!
もちろん考えておくべきことはあると思います。ザっと挙げてみても
【メリット】
・学部で学べないような深い化学の知識を学べる(学部のみでは有機化学の大部分を網羅するのは不可能)
・研究を創出する能力を身につけられる
・就職先の選択肢が広がる(初任給も少し高い傾向)
【デメリット】
・研究によっては拘束時間が長いので、モチベーションがないと続けられない
・社会に出るのが2年遅れる
・学費が余計にかかる
等々、他にも細かなところでメリデメはあると思いますが、ただ、本質的な部分で「ある分野を深く学びたい」という強い意志があれば、デメリットは特にないのではと思います。
コロナ禍にあって、想像と違ったことや、例年と異なる点で思うようにいかないこともあるのではないですか?
良かったこともあって、授業がオンラインになったことで録画されたものを何度も見返すことができ、効率的に復習できるようになりました(ちゃんと見てるかどうかは別として笑)。
ただし、化学の研究を進めていくためには実験をたくさんやらなければならないので、時間が必要不可欠です。コロナ前は終夜で実験する(24時以降も大学に残って寝る間を惜しまず実験する)ことができたのですが、今はコロナ対策のために禁止されていて、より短い時間で効率的に実験をおこなわないといけないので大変です。
あとは、気軽に友達とごはんに行けなくなってしまったので、ストレス発散する方法が減ってしまったのも、コロナ禍のマイナスな点ですね。
やっぱり将来はそれ系の研究職に就くケースが多いの?
大学院に進学した人の大部分は研究職についているそうで、もちろん、私も研究職につきたいと考えています。
私の志は化学の力で人間の生活を豊かにすることなので、化学メーカーや製薬会社などに就職したいです。
今の研究テーマを全力で推してください!
有機化学全般の話になってしまうと思いますが、新規性のあるたいていの有機化学実験はうまくいかないです。
でもその分、うまくいかない原因を有機化学の知識を駆使して追究し、うまくいくように問題解決できた時はエベレストを登りきった時くらいの爽快感があります(登ったことはないですが笑)
今振り返って、学生生活でやっておいて良かったことと、やっておけばよかった後悔はありますか?
【学業以外】
●やっておいてよかったこと
化学の研究とは関係ありませんが、海外旅行はやっておいてよかったと思っています。日本の雰囲気や文化(習慣)との違いを肌で感じられたり、野生のサルに噛まれて狂犬病になりかけるといった貴重な(?)体験をしたりできました。
●後悔
彼女と浴衣を着て花火を見るのが夢だったのですが、儚く夢と散りそうです・・・。
【学業】
●やっておいてよかったこと
中学・高校と一番好きな教科が英語だったので比較的熱心に勉強しました。大学の研究室に入ってからは英語の論文で最新の研究を調査するので、英語はしっかりやっておいてよかったです。
●後悔
もともと読書というものが嫌いで、小中学校の朝の時間帯にある読書の時間とかもただただ苦でした。しかし、今更、本を読むということが国語的な能力の向上だけでなく、自分の価値観を変え得る機会になるということを知り、読書をするようにしています。小学生くらいから、ちゃんと読書していればもう少し上手な文章が書けていたのかなあとも後悔しています。
最後に後輩や生徒たちに熱いアドバイスをお願いします!!
勉強は継続することがとにかく大事です。私が好きなサッカーでも、冬の寒い時期にたくさん走ってトレーニングしたら、その頑張りは夏の暑い時期(ちょうど大会の時期)に結果としてあらわれますが、勉強も同じで、すぐに結果はでません。なかなか結果が出なくて苦しくても、少し頑張って継続してみてください。そしたら、必ず結果は出ます!