次の画像は、埼玉県の公立高校入試数学の、2019年に実施された問題と今年2021年に実施された問題です。
細かく判別することは難しいかもしれませんが、単元が違うとはいえ、同じ大問3でも随分と文章量が増えていることは認識できるでしょう。
こうした傾向の変化は何も数学に限った話ではなく、英語であれば長文量や英問形式の増加、理科や社会でも資料量の増加等が随所に生じており、いわば新傾向の出題は常態化しているのが実情なのです。
さらに、冒頭でも触れた共通テストの導入や新指導要領の適用といったトピックスが、今後どう影響してくるのかも気になるところです。
特に、出題傾向の変化という観点で見れば、共通テストがセンター試験からどう変わったかを考察することは重要な意味を持ちます。
知識偏重から思考力重視に!「覚えれば何とかなる」時代は去り、より実践力の要求される出題形式に!
センター試験と共通テスト出題形式比較 | |||
科目 | 共通テスト | センター試験 | |
英語 | リスニング | ・読み上げ語数約1,500語 ・聞き取りに加え思考力も |
・読み上げ語数約1,100語 ・聞き取った内容を問う |
リーディング | ・総単語数約5,400語 ・読解問題&英問のみに |
・総単語数約4,000語 ・語句等知識問題あり |
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国語 | 現代文 | ノートの空欄補充問題等、新たな視点の問題が追加 | オーソドックスな読解問題が中心 |
古典 | 文法知識だけを問う問題は消滅 | 古語や文法等、知識を問う問題も一定数出題 | |
数学 | 思考力重視になり計算を開始するまでに時間を要する | 計算力重視の傾向 | |
理科 | 実例に即した思考力を要する問題が増加 | 知識問題が一定数存在し、暗記で乗り切れる側面有 | |
社会 | 資料や文章の読み取りを重視する問題が増加 | 知識を問う問題が一定数出題 |
かつては知識を単独で問う問題も一定数存在し、数をこなし知識をインプットした分だけ点数にも表れる側面がありました。
しかし共通テストの出題形式を見ていくと、知識のインプットは大前提として、その知識をいかに運用していくかという応用力、思考力といった要素が強く要求されるようになっています。
では、これらがどう高校入試戦線に影響してくるかと考えれば、文章量や資料量の増加といった既に表れている傾向に加え、より実生活に即したシーン設定、つまり実践的思考力の要求されるようになるのではと考えられます。
例えば英語では、リスニング問題の配点増加や、英問英答形式の増加などは一例として考えられるでしょうし、数学と理科のように親和性の高い科目では、両科目の要素をそれぞれ盛り込んだ科目横断型の出題も増えるかもしれません。つまり、覚えれば何とかなる類の出題が一層減っていくことだけは確かだと言えるでしょう。
これらの傾向をしっかり踏まえた備えを進めていくことは、決して他人事ではなく、近い将来の自らに降りかかってくるかもしれないリスクを回避するために大きな意味を持ってくるかもしれません。
- リスニングや英問英答形式の増加!
- 文章題・文章量の増加!
- 一問一答から思考力重視の出題形式に!
特に英語は4技能時代を反映し、より実践的技能の要求される出題形式になることも。既に東京都立入試では2022年度からスピーキングの導入も予定されており、埼玉県でも追随する動きが生じて不思議はない!?
すでに生じている傾向が一層加速する可能性は高い。見た目から難化するだけでなく、解法の発想に至るプロセスが複雑化したり、解く上での情報を多方面から整理する必要性が高まるなど、一問一問にかかる負荷も高まる懸念。