10年ぶりとなる新指導要領の適用、そしてそれに伴う教科書の大幅な改訂。もちろん、それらの影響は学校の授業、ひいては定期テストにも波及していきます。
では、実際の定期テストにはどのような傾向の変化が見られたのでしょうか。今年度最初の定期テストとなった1学期中間テストの出題傾向から、これまでとの違いや対策を考察することは、今後を展望する上でも非常に大きな意味を持ちます。
もちろん、現場でもまだ試行錯誤な段階にあることも事実でしょうし、今後も何度もマイナーチェンジを重ねていくことは想定されますが、科目によっては確かな変化を読み取れるものとなっています。
英語
明らかに比重を増したのがリスニング問題です。学年によって配点は異なるものの、まだ文法事項の占める割合が少ない低学年では、なんと約8割が音声を聞いて回答するという形式でした。
今年から実施された共通テストでもリスニングの配点が大幅に増加しましたし、新指導要領においてもコミュニケーション能力を重視することが明言されており、そういった傾向を色濃く反映した結果とも言えるでしょう。
中にはリスニングの中で文法問題も出題されており、これまで以上に「聞く力」の要求度は高まっていくことが考えられます。一朝一夕に鍛えられる能力ではないからこそ、普段から英語を聞く時間を確保するなど、リスニング強化には努めることが必要と言えるでしょう。
また、リスニングのみならず、会話形式の大問が増えたことは注目ポイントです。表現に関するイディオムは知識としてインプットしておかないと厳しい面があるため、こちらも常日頃から知識の習得にかける時間を習慣的に確保することが重要になります。
数学
英語に比べれば目に見える大きな変化はなく、比較的例年通りの傾向に沿った出題内容でした。しかし、忘れてはいけないのは、例年1学期中間テストでメインになるのが差別化のし辛い計算系の単元である点です。
そして、そうした中でも単純な計算力だけでなく、思考力を問うような問題が低学年のものから出題されていたのは注目すべきポイントでしょう。
今後、特に2学期以降は関数や図形分野など、すでに入試においても増加している思考力系の出題が増加してくることが想定されますので、安易なパターン演習だけで乗り切れない覚悟は持っておくべきでしょう。
- 大問構成から配点まで、特に英語はまだまだ不透明!?
- 入試戦線においても過去問依存は危険!?
1学期中間テストではリスニングの比重増が非常に目立ちましたが、このペースでは早い段階で教科書のリスニングを網羅してしまうことも想定され、また今後重要文法が登場してくることも考慮すれば、大問構成にも配点にも、傾向に更なる変化が生じることは十分に考えられます。今回見られた傾向はきちんと押さえた上で、まだまだ油断なく備えていくことは必要でしょう。
当日、問題用紙をめくってから慌てることのないよう、あまり過去問に依存した勉強に偏ることがないよう、共通テストなどにも見られた傾向の変化は踏まえておくべきと言えるでしょう。