雑学実験室vol.10 お弁当の漬物。その殺菌防腐効果はどのぐらい?

お弁当の中によく入っている梅干しなどのお漬物。“ご飯のおとも”以外にも、殺菌防腐効果があるなんて話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
そこで!実際にどのぐらいの効果があるのか、他のお漬物とも比較しながら実験してみました。

こだニャン

おいしそうなお弁当だニャン。けど、難しい顔をしてどうしたニャン?
どうしてお弁当のごはんには梅干しが乗っているのか不思議だなぁと思って・・・。

よしき

こだニャン

ご飯も進むし、それにお漬物には防腐効果があるって言うニャンね。
でもどうせお漬物食べないし、それに、ご飯が進むって言うならプリンとかチョコを入れてくれた方が嬉しいのに・・・。

よしき

こだニャン

プリンやチョコをおかずにご飯食べるつもりニャンか・・・。でもこれから暑くなるし、防腐効果は見逃せないニャン。
でもでも、別に梅干しじゃなくたってって思わない?

よしき

こだニャン

相当梅干しが嫌いニャンね・・・。じゃあ、他のお漬物も含めて、防腐効果を実験だニャン!

実験準備

  1. お漬物
  2. 梅干し、たくあん、キムチの3種類を用意。

  3. 同封食材
  4. ごはん、生野菜(レタス、ミニトマト)をお漬物と同封。

実験:お漬物の防腐効果を比較検証!

こだニャン

ごはん、レタス、ミニトマトを詰めたプラスチック容器を4つ用意して、梅干し、たくあん、キムチをそれぞれ同封したものと、お漬物を何も入れないものを、それぞれ作ったニャン♪
これを密閉して腐敗具合の進捗を比較してみるニャン♪
ちなみにどの容器が一番もつと思うニャン?
とにかく梅干しの容器が真っ先に腐ってくれればなんでもOK!

よしき

こだニャン

梅干しになんか恨みでもあるニャンか・・・?

2週間後・・・

こだニャン

どの容器も、特にトマトの表面に白いカビが生えたニャン。

やっぱり梅干しなんてなくて良いんじゃん♪
でも、よく見るとそれぞれでカビの生えた方はちょっと違うような・・・。

よしき

こだニャン

お漬物の中でも抗菌効果があるのは梅干しで、梅干しに含まれるクエン酸がその効果を持つニャンけど、実はその効力は周辺数ミリにしか発揮されないニャン。
でもよく見ると、どの容器もお漬物と接触している部分だけはカビが生えていないニャン。
いろいろ原因は考えられるニャンけど、「浸透圧」の関係で、菌の繁殖に必要な水分がトマトからお漬物に移動したことが考えられるニャン。
しんとうあつ?水分が移動??
なんだか良く分からないけど、お漬物の効果はあったってこと?

よしき

解説:防腐効果の主因は浸透圧にあり!?

こだニャン

浸透圧とは、濃度の異なる液体が接触した時に、その物体間で濃度を等しくしようとする力のことニャン。

例えば今回の実験だと、塩分濃度の高い漬物と低いトマトとでは塩分濃度差があるニャン。でも、トマトの水分が漬物に移動すると、相対的に漬物の塩分濃度は下がり、トマトの塩分濃度は上がって濃度が近づくニャン。
小さい時にナメクジに塩かけたらナメクジがシュワシュワ小さくなって・・・アレも同じこと?
ってか、ということは漬物は防腐しているというより、ただトマトから水分奪い取っただけじゃん!

よしき

こだニャン

スルドイニャン!
ナメクジの場合は、体の90%が水分でできていて、体にかかった塩が粘液にとけて濃い食塩水ができると、ナメクジの体内の水分が浸透圧で外へ出て行ってしまってナメクジの体が小さくなるニャン。原理は同じニャン。
それに、塩分濃度が高まるのに伴ってpHが低くなると、細菌が繁殖しにくくなり防腐になる、これがお漬物に期待される効果だニャン。
ただ、改めて実験結果を見てみると市販のお漬物は塩分濃度が低くて大きな効果は期待しづらいと言わざるを得ないニャンね。

同封物 2週間後の様子 考察
視覚 匂い
何もなし 全体にカビ
キムチ 多少の効果は認められるが全体にカビ キムチの匂いが強く変化不明 つけ床のヤンニョムに含まれる唐辛子が防腐効果を持つが、市販のものは本場ほど濃度が高くない為、効果が薄かったと考えられる
梅干し 梅干しとの接触部分のみカビ無 クエン酸の効果が及ぶ範囲は狭く、浸透圧の働いた部分のみ防腐効果があると考えられる。
たくあん ほぼカビは生えず。ただし容器が膨張。 防腐効果は梅干しと同様と考えられるが、つけ汁が蒸発したと考えられ、容器は最も膨張した。
ほーら、だから梅干しなんて!
もう今からセ〇ンとファ〇マとロー〇ンに、今回の実験結果を送り付けて梅干し入れるのを止めさせてやる!

よしき

こだニャン

だから梅干しに何の恨みがあるニャン??