「詰め込み」「ゆとり」、そして「脱ゆとり」と、幾度と無く物議を醸してきた学習指導要領の改定と、それに伴う教科書改訂。
先日、2020年度より実施される新指導要領で用いられる教科書の検定結果が発表されましたが、子供達が学校で学ぶ内容ということは、先々は受験にも大きく関わってくることであり、さらには日本の目指す方向性を示すものでもあります。
今回はどういったトピックスがあったのか、ポイントをチェックしていきましょう。
Point① プログラミング必修化
算数や理科の教科書では、今回から新たに必修となるプログラミング教育が盛り込まれました。
もちろん小学校義務教育の段階から本格的なプログラマー育成を直接的に目指すものではなく、ITが社会に浸透し、不足しているIT人材の裾野を広げるきっかけになればとの思惑です。
・中学校:2021年度から、技術・家庭科におけるプログラミング教育の内容拡充
・高校 :2022年度から、プログラミングを含む「情報Ⅰ」を必修科目として新設
また、肝心の教師側に、十分な知識やスキルがあるのかという問題もありますし、施設や備品の整備状況等に自治体間の格差が生じる懸念も拭えません。
果たしてどこまで成果の伴う教育機会を提供していけるのか。子どもの習い事がまた一つ増えるだけというオチにならないことを、願うばかりです。
Point② 小学校で英語が正式に教科化
これまでにも度々報じられてきたとおり、新学習指導要領における英語は、従来の知識・技能だけでなく、「読む・聞く・書く・話す」の4技能を総合的に身につけようという内容になっています。
さらに、学習内容の“量”ではなく“どう学ぶか”に力点を置いている背景もあり、一つの形式としてアクティブラーニングの要素を取り入れた「動画や音声を用いたコミュニケーション重視の内容」になっています。
文法重視の受験英語との間にどのようなギャップが生じてくるのか、一面的な評価はできませんが、少なくとも、これまで以上により主体的に英語を学ぼうというスタンスが必要になることだけは確かです。
Point③ 領土や歴史問題に政府見解が反映
特に社会の教科書検定に際し、文部科学省が歴史や領土についての記述で、政府見解を詳しく書くよう求めています。例えば、竹島や北方領土、尖閣諸島について、日本固有の領土であるという政府見識に触れるよう規定しているのです。
また、こうした広義の時事に関するテーマは、何も社会に限らず、例えば人工知能(AI)などの科学技術や性的少数者(LGBT)、中には将棋の藤井聡太七段や水泳の池江璃花子選手を取り上げた教科書もあり、単なる知識のつめこみではなく、より実社会に即した教育を実現しようという意図がうかがえます。