学校で全員に配布される教科書。「厚くて重い、その上内容もなんだか難しい」と、使いづらさを感じる学生も多いのではないでしょうか。
実際に受験生になると「じゃあ、わかりやすい参考書で勉強すればいいじゃん」と、教科書を全く使わないで受験勉強をしている人もよく見られます。
しかし実は、教科書は正しい使用法を守れば、定期テスト対策だけでなく受験対策にも、かなり役立つ教材なのです!
今回は、参考書との違いにも触れつつ、教科書をいつどのように利用すればよいか、また教科書を使用する際の注意点を解説します。
どんな時に、どうやって教科書を利用すべき?
利用シーン①:基本事項の確認
教科書の特徴として、必要な基本事項がすべてまとまっているという点があります。学校で教わるべき内容は漏れなく、教科書一冊にすべてまとまっているのです。
一方で参考書は、「わかりやすさ」や「学習効率」を追求した教材ですので、必ずしも網羅的に押さえられているとは限りません。
ただし、いくら内容がまとまっていると言えど、如何せん「分かりやすさ」で参考書に劣る以上、教科書はメイン教材には向きません。具体的な利用方法としては、辞書のように使うことをお勧めします。
特に社会や理科といった暗記要素の強い科目では、「辞書のように使う」イメージがわきやすいと思います。でも実は、思考系科目の数学の教科書こそ、辞書的な使い方に一番適しているのです。
数学の教科書には覚えるべき定義や定理、公式がすべて掲載されている上、多くの数学の教科書には巻末に索引がついています。索引を活用して定義や定理、公式を確認する辞書として利用しましょう。
利用シーン②:記述式の対策
近年の入試傾向からしても、対策必須な記述式。例えば数学の証明や、理科社会の現象を説明する問題など、多くの学生が苦手とする出題形式です。
記述式に関してよく見受けられるのが、「イメージはできるけど言葉にできない」という症状です。そんな学生にピッタリな利用法が、教科書のマネをすることです。
教科書では、様々なことが簡潔で正しい言葉でまとめられているので記述式の勉強にピッタリなのです。
理科社会では、教科書の文をそのまま覚えてしまえば、記述式で減点されることはありません。
数学においても効果的で、教科書には必ず定理の証明が記載されています。イメージを言語化できないのは、語彙力の低さが原因です。教科書の証明で使われている言い回しをよく観察して、数学の語彙力を高めていきましょう。
記述式の勉強は、マネをすることが一番効率的です!教科書の正しい表現をどんどんマネして、自分のものにしていきましょう。
教科書の使用上の注意点
注意点①:マーカーを引いて満足しない!
教科書の重要な部分に蛍光ペン等でマーカーを引き、重要な部分を強調する。とても大事なことです。
しかし、ここでよくある大きなミスが、「マーカーを引いて満足してしまう」ことです。
マーカーを引くと視覚的に要点がまとまったように見え、”勉強した気”になります。しかしマーカーを引いただけで覚え、理解できるわけありません。マーカーは、基本事項を復習しようと教科書を開いた時に、要点がすぐに見つかるようにするためのものです。
板書を写したノートにも言えることです。マーカーを引くときは、「もう一度開いた時に確認しやすいように」という意識を忘れずに!
注意点②:教科書だけで完結しない!
教科書には必要なことがすべて記載されています。ですから、極端な話、教材は教科書だけでも十分です。しかし、教科書には致命的な欠点があります。それはアウトプットの機会が少ないという点です。
アウトプットとは、得た知識を利用して問題を解く、演習のことです。知識を入れるだけで学力は身につきません。知識を利用した演習を通して身につきます。教科書は十分な知識を提供してくれますが、十分な量の演習と解説は提供してくれません。
そこで、参考書や問題集の出番です!
参考書や問題集は問題数が豊富で、解説も詳細です。加えて、全員共通の教科書と違い、自分の理解度に応じて内容が選択できるので効率的な演習が期待できます。
教科書の内容を理解したにとどまらず、それを利用した演習を忘れずに行いましょう。
- 教科書は「基本事項の確認」と「記述対策」に!
- 「マーカーを引く時の意識」と「参考書、問題集で忘れずに演習」に気を付ける!