年々社会の変化するスピードは激流のごとく早くなっている印象を受けますが、それは子供たちの学習内容や受験事情においても同様に言えることです。
特に今年は、Manavoでも度々ご紹介してきたとおり、学習指導要領の改訂に伴い、学習内容も時期も、これまでとは大幅に異なるものになりました。
例えば中1の1学期にA、2学期にB、3学期にCといった流れだったものが、1学期にいきなりCが登場し、2学期にAとB、3学期にはDが新たに登場するという具合です。
筆者が塾長を務める個別指導「こだわり」塾においても、特にベテラン講師ほどこれまでの経験で染み付いてしまった固定観念は捨て去るよう口酸っぱく伝えていますが、学習する順序が変わるということは、当然教える順序も変わりますし、それは学習済扱いの分野も変わることを意味します。つまり前提となる知識の有無が、これまでの常識とは大きく異なってしまうのです。
これらは指導要領改訂に紐づく教科書の変化にまつわる一例ですが、もちろん受験戦線においても同様のことが言えます。
特に昨年度はコロナ禍の影響が随所に変化をもたらしましたが、その流れは今年においても当然想定すべきです。具体的にどういったポイントを踏まえておくべきか例を挙げてみましょう。
①模試や内申点の扱い
コロナ禍で一部の回が自宅受験となった北辰テストですが、各私立高校、その取り扱いを巡って大きく二分することとなりました。
一つ目が、自宅受験の回も含め、従来通り第3回以降の北辰テストを推薦基準判断の対象にするというパターン、二つ目は、会場受験で実施された回のみを対象とするパターンです。
これらから備えるべきは、懸念される第4波、第5波が来た時に備え、早い内から会場受験できる回は受験しておくという考えです。
どのタイミングで波が来るのか(あるいはもう来ないという幸せな結末になることを願うばかりですが)分からないですし、対象回が減れば高校側としても検討材料が減ることになります。
そういった事態を避けるために、第1回や第2回も会場受験で実施されるなら対象回に加えようという動きは例年以上に増えてくると考えられるだけに、単なる経験値面でのメリットだけでなく、一つの備えとしても、受けれる回は受けておくべきでしょう。
②検定
受験戦線において加点項目として大きな意味を持つ検定類ですが、こちらも昨年度には一つの傾向が鮮明になりました。
それは特に英検において、「一次試験をパスしておけばOK」という例が増加したのです。これまでは二次試験に壁を感じて二の足を踏むケースも見られましたが、一次でOKとなれば話は別と言う方も多いはず。
是非、積極的に受験するようにしましょう。
③出題範囲
昨年はコロナ禍に伴う休校期間の影響も考慮され、一部の単元が出題範囲から削除されるケースが、公立だけでなく私立でも見られました。
一方で今年は、冒頭の指導要領改訂に伴い、特に新出の内容、例えば数学のデータ関連単元、英語の新出単語をはじめ文法面では仮定法など、今までは無かった単元が新たに出題対象となってきます。つまり、おととしまでの出題範囲に加えてと言う形になる為、昨年との比較はもちろん、それ以前と比較しても、最も出題範囲の広い入試となることが想定されるのです。
もちろん、移行期間としての処置がとられる可能性もありますが、備えはしておいて損はありません。
他にも今年から導入された共通テストの出題傾向が入試戦線に影響を及ぼすことも想定されるなど、これまでの常識が通用しなくなる可能性はとどめおくべきでしょう。
特に上に兄弟がいる場合など、経験済みで分かっているつもりになっているご家庭は警戒すべきで、ノンビリしているといざという時に大きく後悔することにもなりかねません。
去年までのことは去年までのことと、最新の情報にアンテナを張り巡らせるスタンスは大切にすべき時代と言えるのです。