筆者が塾長を務める個別指導「こだわり」塾でも、この時期になると、順次新受験生の方々とご面談をさせて頂き、受験年度に向けて諸々確認すべき事項を共有させて頂きます。
中には早々に模試を受けたという方々もいますし、すでに届いたその結果に、現実を突きつけられ、そして早くも志望校像に揺らぎが生じているケースも・・・。
一方で詳しく話を聞いてみると、受験してから1か月近くが経とうというにも関わらず、受けた模試の見直しもしていないという方が圧倒的多数派。これでは多くの時間とタダではない受験料の無駄と言わざるを得ません。
ここで改めて模試を受けることの意義を考えてみましょう。
- 難易度や時間配分等、本番レベルへの慣れ
- 志望校の合格可能性判定を知る
- 上記から自らの課題を明確化
多くの方が①や②に関しては認識しているでしょうし、そのために受験しているという方も多いことでしょう。また実際に受けた印象として、あるいは結果が手元に届くことで、その効果の実感も必然的に伴ってくる面があります。
しかし③に関しては、認識こそしていても、実際にどうアクションしているかと言えば冒頭にご紹介の通りで、「あ~難しかった」「全然回答欄を埋められなかった」といった感想レベルに留まっているのが実情です。
経験と思い出は似て非なるもの
経験値とは、つまり引き出しです。良いも悪いも含め、過去の出来事を次にどう活かすかという観点で自らの血肉にできていればこそ、経験値と呼ぶことができます。
一方で、過去の出来事をただ“こんなことがあったよね”程度に留めていては、次に似たような状況が起きた時に活かすことは叶いません。それでは単なる思い出と何ら変わりありません。
模試に出た内容は、次にまた似たような形で出る可能性がありますし、そうなった時に対処できるよう、反省を踏まえて備えておくことこそが、模試を受けたことの最大の意義です。
模試はゴールではなく、あくまでもプロセスにおける現在地を知るためのものです。そこで課題を明確にし、そして打つべき手を計画的に打っていかなければ、模試を受けたことの効果は限定的なものになってしまいかねません。
くれぐれも、受けっぱなしに留めず、解き直す、少なくともできなかったものに関しては解説を読み込むといった、模試を受けたことの意義を最大化できるような取り組み方を心掛けて欲しいと思います。