キーワードは読解力と思考力 英語以外の科目もこう変わる!

衝撃的と言っても過言ではない改訂内容なのは、何も英語に限った話ではなく、数学をはじめ他科目においても、同様に様々な改訂が施されることになります。

例えば数学では、昨今のビッグデータ時代の到来を背景に、統計関係の単元が強化されます。具体的には「箱ひげ図」「四分位範囲」などの従来高校数学のⅠ・Aで取り扱っていた内容が中学数学へと移行してきます。

さらに、これまで中学校で扱っていた事項も一部が玉突き的に小学校に移行され、既に履修が開始されています。保護者の中には「今どきの小学生は難しいことを勉強しているなぁ」と感じている方もおられるかと思いますが、それもそのはずなのです。

もちろん、こうした現象は数ある改訂内容の一部に過ぎず、他科目も含め様々な変更点が見られます。その内容は科目や教科書によっても取り扱い方が変わってくる部分もあるため、実際にどういった方針に基づいて改訂が行われるのか、文科省の発表している「新指導要領の目標」を確認してみましょう。

新指導要領
3つの柱
学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性。
実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能。
未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力等。
上記の力を身に付け、「何を学ぶか」「よりも「何ができるようになるか」を重視した教育

国語以外の理系科目でも読解力が成績を分かつポイントに!?

大きなポイントになってくるのは実社会で生きる力の養成を旗印に、その一環として思考力を重視した方針でしょう。これにより例えば身近なテーマの中で学校での学習事項がどう活きてくるのかを問う問題が増加します。

主な再編・新出事項

数学
(算数)
小5 速さ、正多角形のプログラミングを学習
小6 平均値、中央値、最頻値、階級など統計分野が中1から移行
中1 累積度数、相対度数、範囲など統計分野の再編
中2 四分位範囲、箱ひげ図などが数Ⅰ・Aから移行
中3 近似値、有効数字などが追加
統計・データ関連を中心に学習時期を再編。授業時間も約10%増加。
理科 小6 物質やエネルギーに関して、プログラミングを通じて学習
中1 地学分野で「ハザードマップ」「緊急地震速報」などが追加
中2 電流・磁界分野に「放射線」が追加
中3 イオンと電池分野に「ダニエル電池・ボルタ電池」が追加
単元問わず、観察や実験を重視した教科書の構成に変化。
社会 小学校 少子高齢化等による地域社会の変化や、情報化に伴う産業の変化等追加
中学校 人工知能や、仕事と生活の調和、企業に関する内容の追加
上記以外にも、世界史や政治参加など、今日的な問題を事例として強化。

上の表は指導要領の改訂に伴う再編内容の一部ですが、元来、比較的実生活に関連した身近な内容の多い理科や社会では、そういった状況のイメージできる内容がズラリと並んでいます。

また、数学は最も「こんなの学んで将来何の役に立つの?」と感じやすい科目の一つでしたが、統計分野を中心に、現代社会において必要とされる実学を学ばせようという意図が強く感じられるものになっています。

そうなると想定すべきなのが、問題演習に際して前提となる条件やその説明が増えるため、問題文の文章量が増加し、伴って、科目問わずこれまでに以上に読解力を求められる傾向が強まる点です。

実際に、数学や理科の入試問題では既にその傾向が見られるようになっており、以前に比べて格段に文章題の文字数や資料量が増加しています。

もちろん、その結果として平均点には表れない大きな二極化も生じています。

また、数学で学習していた単元が理科や社会といった他科目にも登場したり、逆も然り、科目をまたぐ融合的な内容が増加することも大きな特徴です。

これらによって何が生じるかと言えば、安易に解法を暗記して・・・といったパターン的な学習方法では通用しなくなる可能性です。学習内容を本質的に正しく理解し、そして活用できる応用力まで備えていかなければ、いざ本番というタイミングでまるで点数につながらなくなる可能性が高くなるのです。