デキるあの子の質問の仕方

「先生、この問題が分からないです」

この一言が素直に言えるかどうかが、勉強のデキる子と苦手な子の分岐点とも言えるほどに、分からないことを質問できることは重要な一歩となります。

一方で、何でもかんでも聞けば良いというものでもないところに奥深さがあり、やはりデキるようになる質問の仕方というものも確かに存在します。

もちろん「分かってるフリ」「分からないことをそのままにして問題を先送り」といったスタンスよりは、素直に分からないことを意思表示できる方がはるかに可能性を感じることも確かですが、同じ質問するなら身になる質問の仕方を心がけたいもの。

では、身になる質問の仕方とはどうあるべきなのでしょうか?その前後のスタンスを含めて確認してみましょう。

① 何はともあれ解いてみる

「これ、足し算?引き算?」という質問の仕方をする子は珍しくないですが、こういう質問の仕方をする子は伸び悩む典型的なパターンです。

その理由として、試行錯誤を放棄して答えだけを求めるという「正解を急ぐ傾向」が認められるからです。

結果だけが求められるテスト類と異なり、日々の学習においては、誤答してもその理由をしっかりと把握し、改善を試みるサイクルを回すことこそが、デキるようになるために重要なポイントになります。

そういう観点に立てば、何はともあれ解いてみて、その上で「これ、○○だと思って足し算してみたけど、合ってますか?」という質問の仕方こそが大事なのです。

講師の観点から
白紙の状態で持って来られても、何をどう考えてどこが分からないのかが分からないとゼロベースになってしまいますし、何事も“0から1”よりも、“1から2”の方がはるかに効率的に進むものです。
質問してくれること自体は大歓迎ですが、まずはその前に、自分なりに理解しようと努めるスタンスを持ってくれれば、より中身のある質問になるのではないでしょうか。

② 正誤に関わらず自分なりの意図を示す

上記でも触れたように、正解しているか間違っているかは大した問題ではなく、自分なりの見解を持っていること、あるいは示すことができれば、質問される側としても対応の仕方がグンと変わってきます。

考え方の部分で誤りがあったのか、考え方は的を射ているのにプロセスにおいてミスをしてしまったのか、そもそもの前提知識が欠けているのか・・・。

いずれにせよ、どういった意図を持ってその問いに相対し、そして行き詰ったのか、それらを示すことができれば、より中身の濃い質問になることでしょう。

講師の観点から
例えば数学であれば途中式を明記したり、図形や関数分野であれば図やグラフに書き込みの跡がある。そういったことでも、どう考えて何が原因で誤ったのかが把握できますし、ちょっとした修正で改善されるケースも多くあります。
中にはそれらをちゃんと書き記していないケースも散見されますが、やはり思考の跡は消さずにちゃんと残してくれると、効率も良くなると思います。

③ 分かったつもりにならないで自力で再チャレンジ!

“分かった”と“デキる”は別次元にあります。テストでも手応えと実際の得点にギャップがあるタイプなどは、得てしてこの“分かった”から“デキる”へと昇華させきれていないケースが多いものです。

一方で手応え通りに得点できる子は、いつでも正確に再現できるようアウトプット、つまり演習量を確保できているという特徴があります。

「あーこれ、見たことある・・・けど、なんだっけ??」という“あるある”を回避し、質問したことを実りあるものにするためには、問題を自力で解き直してみる、類題演習を重ねるといったアウトプットの反復は絶対必要条件です。

講師の観点から
授業などで理解したと評価していても、実際にテストで思うような結果が得られない生徒は、往々にして宿題をサボったりするタイプだったりします。質問に積極的に来る割には伸び悩む子も本質は同じで、適切な演習量をこなさないと、自力でできるようにはなりません。
せっかく勇気を出して質問に来てくれたのですから、それが無駄にならないよう、しっかり練習を重ねることは忘れないで欲しいと思います。