2020年、小学校では新学習指導要領が適用されましたが、2021年からは中学校でも適用され、新たな枠組みの中で学習に取り組むことになります。
中でも注目すべきは、英語です。小学校から教科化され、正式に学習成果を評価される対象となった1年を経て、中学校英語ではどういった内容に取り組むことになるのでしょうか。
小学校で扱った事項は既習事項!?中学英語が一気に難化!
この春、まずは小学校から実施された新指導要領において、従来の知識偏重型から「読む・聞く・書く・話す」の4技能を総合的に身につけようという内容に変わった、それが英語改革の大きな柱となっています。
その一環として、文法要素に触れるだけでなく、コミュニケーションを重視した各種のアプローチもなされるようになったわけですが、少なくとも受験英語という観点で言えば、まだまだ文法英語重視という側面は否定できるものではありません。
もちろん小学校の現場においてもそうした観点を無視するわけではなく、中学校や高校の学習内容との連携にも配慮するよう、一定の文法学習を行うことを推進するようにもなっているのです。
実態として、どこまで文法要素に踏み込んだ授業が実施されているかはさておき、肝心なのは、中学校進学後「小学校でやってきた事項は既に学習済」という前提で進められることのリスクです。
つまり、小学校で扱ってきた事項は既習事項として取り扱われ、中学校でそのままさらに難解な文法事項を学ぶことになった時に、どこまでついていける子がいるのか、逆の観点で言えば、付いていけない子はどうなってしまうのかという懸念が拭えないのです。
ここで改めて、小学校と中学校それぞれの指導要領において、学習内容がどう改訂されたのか、一部を確認してみましょう。
小学校英語における主な改訂事項 | |
授業方針 | 中学年では「聞く」「話す」に重点を、高学年では「読み」「書き」の領域が追加。 |
主な文法事項 | 助動詞、疑問詞、過去形、文構造など |
中学英語との関係性 | 上記文法的観点からの学習も導入し、中学との連携を図る。 |
中学校英語における主な改訂事項 | |
授業方針 | 「授業は英語で行うことを基本とする」と明文化されており、4技能の習得を一層推進。 |
主な文法事項 | 原形不定詞や仮定法、現在完了進行形等、これまで高校で取り扱ってきた一部の文法事項を中学に移行 |
小学英語との関係性 | 小学校で取り扱う約600語に加え、新たに2,200語以上の語句数を取り扱う。従来の中学3年で扱う約1,300語から一気に2倍以上に! |
英語の要とも言える「文構造」をはじめ、「助動詞」「疑問詞」、さらには「過去形」といった事項が小学校英語で取り扱われ、また中学校英語ではこれまで高校で扱っていた事項が再編移行してくることになります。
さらに習得すべき語彙数もこれまでの2倍以上にという、衝撃的とすら言えるほどの大幅な改定内容です。
小学校でどこまで文法的観点から指導できているかはさておき、そもそも学ぶ側のスタンスとしてどこまで理解し定着させようという試みができるのか、あるいは語彙の習得を習慣化できているのか・・・。考えれば考えるほど、不安の方が大きくなります。そしてそれらを既習事項として、さらに難化する中学校英語に臨んだ時に、どう対応できるのか・・・。
基礎がしっかり固まっていない上に、応用的事項を積み重ねようとしても、その行く末は容易に想像できることでしょう。
中学校へ進学するに際して登場する新たな、そして最難関な壁は英語と言っても決して過言ではないかもしれません。
- Point① 辞書を引く習慣を身につけよう!
- Point② “書いて”覚える習慣を身につけよう!
- Point③ パターンで覚えるのではなく、文法的に説明できるように!
言葉には複数の意味が備わっていたり、他の語句と結びつくことで新たな意味を持つこともあります。一語一義的な覚え方をせず、辞書を用いて様々な意味を確認する習慣を身につけましょう。
見て覚えるのではなく、書きながら、声に出しながら、五感をフル活用して覚えることが、特に4技能を求められるこれからの時代においては、必須の暗記法です。
パターン的に表現を覚えることも、時に必要な場面はありますし、少なくとも中学校の定期テストであれば、それで点数を確保することも可能かもしれません。しかし、それだけでは受験英語は乗り切れないことも事実。なぜその語句の並びになるのか、文法的に理由を説明できるよう、思考の伴った学びを心がけましょう。