埼玉における高校受験では、1年生の成績から重要だということには触れましたが、そうなると慌てて塾に通うことを検討される方も出てくると思います。
では、塾に通うことが成績UPには不可欠な要素なのでしょうか?
中学受験の世界では、今や小学校4年生から本格的な塾通いを始めることも一般的になっていますし、公立中学生でも通塾率5割超というデータもあるように、もはや塾に通うことは学校に通うことと同様に、ごく当たり前のことになっています。
ましてや今年は、コロナ禍で生じた休校期間の遅れを取り戻すべく猛スピードで進む学校の授業、そして新指導要領の適用によって学ぶべき事項も増え、学校での学習だけで足りるのか、あるいは受験生は志望校に合格できるのかといった従来からの不安要素に加え、そもそも学校の授業についていけているのかという不安も生じ、ますます塾の存在感は高まっています。
しかし一方で、塾に通わずとも好成績を維持しているという声や志望校合格を果たした事例はいくらでもありますし、Manavoを運営する個別指導「こだわり」塾の高学歴講師陣の中にも、塾には通っていたものの、通塾を開始したのは3年生になってからという声や、中には部活を引退した夏以降という声も珍しくありません。
果たして、塾には早期に通い始めるべきなのか、あるいは受験生になってからでも間に合うものなのでしょうか。
もちろん、唯一絶対的な解はないという前提の上でですが、答えを探る上では、今年のテストにおいて見られた傾向も指針の一つになるかもしれません。
3か月もの休校期間がもたらしたあまりにも顕著な二極化現象
その傾向とは、コロナ禍に伴う休校期間が3か月にも及んだことで、1学期の定期テストにおいて、文字通り明暗分かれる結果が生じ、そして両者の間に一つの傾向が見て取れたのです。
具体的には、春までに通塾を開始していた層、中でも休校期間中も授業や補講に参加して学習機会を担保していた層、そしてそれ以外の、学校はもちろん塾にも通わず学習機会が中断されてしまっていた層の間で、明確に得点差が生じる事態となったのです。
では、具体的にどう差になって表れたのか、特に積み重ね型科目として、学習の継続性が結果につながりやすい英語と数学を例に見ていきましょう。
学年 | 3月以前から在籍 ならびに休校期間中も通塾 |
6月以降通塾開始 | ||||
英語 | 数学 | 5科目合計 | 英語 | 数学 | 5科目合計 | |
1年生 | 74.6点 | 89.0点 | 369.2点 | 60.3点 | 73.0点 | 284.7点 |
2年生 | 71.7点 | 74.8点 | 335.0点 | 58.7点 | 72.3点 | 264.0点 |
3年生 | 78.0点 | 76.7点 | 385.0点 | 59.0点 | 63.0点 | 297.0点 |
総合 | 75.8点 | 79.1点 | 353.1点 | 59.1点 | 71.3点 | 277.6点 |
上表はManavoを運営する個別指導「こだわり」塾における、1学期期末テストの成績(平均点)比較です。
左側は3月以前から通塾しており、4月以降も授業や補講に参加して定期的に学習機会を担保できていた層。右側は休校ブランクを経て6月以降に通塾を開始した層です。
こうしてみれば一目瞭然。本来1年間の中でも最も難易度が低く、高得点しやすく、つまり差のつきにくいテストであるにも関わらず、英数共に10点以上、5科目合計に至っては総じて80点前後もの大きな得点差が生じています。
また、3月以前から在籍していた組は90点以上の高得点者が英数2科で36%を占めた一方で、6月以降の入塾組側はわずか9%にとどまったという事実からも、いかに一定頻度での学習機会を継続的に確保することが重要かを如実に物語っています。
さらに注目すべきは、以前から通塾していた層の約半分は、英語と数学のいずれか片方の科目しか受講していなかったという事実です。
つまり塾で何をどう教わるのかはもちろんですが、それ以上に、日々コツコツと学習する習慣を確立できているのかどうかが、好成績を得る上での大前提ということが言え、同時にこの点こそが、通塾の必要性を判断する上での重大な基準になると言えるのです。
常日頃から、量の多少は問わず学習機会を確保できているのであれば、塾通いは後々からでも大丈夫ですし、逆にそうでないならば、早めに塾通いを開始し、一定の強制力を持って学習機会を確保することも担保の一つにはなってきます。
もちろん塾に通えば好成績が担保されるわけではなく、最終的には一人ひとりの心構えと取り組み次第ではありますが、何事も遅いよりは、あるいは課題が明らかになる前に手を打った方が実を結びやすいことは、学習面に限らずとも共通の原理原則です。
中学生に限らず、あるいは受験生に限らずとも、来春中学進学を控える現小学校6年生世代などは、科目としての英語を学んだ前提で中学に進学する最初の世代ということもあり、早めの対策=塾通いを検討することも事前の予防策になるかもしれません。