あまりご存知ない方も多いようですが、公立私立を問わず、高校進学に際して国から「就学支援金」という名の授業料支援制度があります。
公立高校の実質無償化といった施策も、つまりは授業料相当額の就学支援金が支給されることによるものです。そしてこの制度は、世帯年収によるものの、私立高校においても適用される制度なのです。
そしてこの制度は、今年度からさらに拡充され、多くの世帯に利用しやすいものになったのです。
保護者世代の当時であれば、私立高校の高額な授業料を敬遠しての公立志望という方も多かったかと思いますが、少しでも柔軟な進路選択を可能にし、また学習機会を公平なものにするため、こういった経済的側面からの支援も拡大しているのです。
また、埼玉県在住かつ埼玉県内の私立高校に通う場合には、国からの就学支援金に加え、「父母負担軽減事業補助制度」という名の補助金の上乗せがあります。
お子様の進路選択に、少しでも柔軟性と幅を持って検討ができるよう、こういった支援制度について、確認してみましょう。
進学補助制度(埼玉県の場合)
- 目安年収はモデル世帯(夫婦片働き・子ども二人=高校生一人、中学生一人)の場合
- 補助額の合計が授業料を超える場合は、授業料が上限
これらの補助額は私立高校の平均授業料を勘案して設定されています。つまり私立高校とは言え、以前に比べれば経済的な負担はかなり減免されているのです。
特に埼玉県の生徒一人当たり補助単価は、全国でもトップクラスという手厚いものになっています。いずれも通学先となる学校に申請すれば済む利用しやすい制度ですので、該当する場合は積極的に活用し、お子様の未来を応援しましょう!
7月から変わった所得要件に注意!
支援の対象になるかどうかを判定する「所得要件」ですが、上述の“年収590万円”“910万円”というのは、あくまでも目安にすぎません。
実際の所得要件判定は住民税額で行われていますが、これが7月以降変更になり、住民税の所得割額を算出する過程で差し引かれる税額控除分について、調整控除以外は引けなくなったのです。これまで、税額控除のふるさと納税や住宅ローン控除などによって所得割額を引き下げ、ギリギリ高校無償化の所得要件をクリアしてきた世帯の中には、該当しなくなるケースもあると考えられます。
小規模企業共済等掛金(小規模企業共済やiDeCo、企業型DCの掛金等)や生命保険料控除、医療費控除をはじめとする「所得控除」は、課税所得を算出する前段階で引かれるものなので今後も影響はないものの、算出した住民税(所得割額)から差し引かれる「税額控除」については対象とならないということです。
裏ワザ的にふるさと納税を多く行うことなどで住民税の所得割額を減らしていた世帯では、急に高校無償化の対象外になったケースもあるかもしれません。注意しましょう。
- 配当控除
- 住宅借入金等特別税額控除
- 寄附金税額控除
- 外国税額控除等