上位校の下位に甘んじるか、下位校の上位を狙うか

せっかくテストを頑張って成績は校内上位。この調子なら3年時には推薦で進学先も確保できそう・・・と考えていたら、上位コースに編入させられ、そこでは成績も相対的に下位に甘んじることとなり、挙句学校には「推薦ではなく一般入試で受験するように」と押し切られ・・・。

これは、Manavoを運営する個別指導「こだわり」塾において、特に私立高校に進学したOB・OGから、これまでに幾度となく寄せられた実話です。

この時期になると志望校選びに頭を悩ませる受験生も多いですが、大学全入時代を迎え、実際に進学率が優に5割を超える現在では、高校進学はゴールではなく、その先にある大学進学を見据えての志望校選びも重要な観点になっています。

さらに言えば、特に私立高校の場合は複数のコース体系を整えている学校も少なくなく、高校選び、ひいてはコース選びによっても、3年後は大きく変わってくるのです。

3年後をどう考えるか

そもそも、こういった事情が生じた背景には、大学進学のルートが多様化したことが挙げられます。

推薦入試やAO入試など、保護者の当時にはまだそれほど一般的ではなかった受験形態が、現在ではむしろ主流になりつつあるほどに、大学進学のルートも多様化しているのです。

そしてここで考慮すべきは、推薦やAOで求められることと、一般入試で求められる“学力”は似て非なるものだということです。

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特に私立高校では、進学実績を最大化するために、例えば自力のある上位コース組は一般入試での進学を目指し、下位コースに推薦枠を振り分けるといった具合に、コースごとに進学指導戦略も分けているところが大半です。

冒頭のような事例も、そうした戦略に翻弄された結果の一つと言えるでしょう。

もちろん推薦枠は毎年少しずつ変化するものですし、志望する大学の志望する学部・学科の推薦枠があるかどうか、現時点で確かなことは言えません。

それでも、原則的に「志望校の選択肢を最大化するなら実力勝負の一般入試=上位コース」「選択肢は高校によって限定されるものの手堅く進学先を確保するなら推薦狙い=下位コース」という基本的な構造は変わりません。

志望校選びの際には、そうした未来志向も観点の一つに、吟味するようにしましょう。

公立高校の場合は上位校がオススメ

私立高校の場合と異なり、一般的に細かなコース体系は整備されておらず、加えて私立ほどの推薦枠を持たないケースの方が多い公立高校の場合は、考え方が少々異なってきます。

もちろん私立高校同様、学内の上位に位置して推薦を狙う戦略は公立でも通じる部分はありますが、コース体系が整備されておらず推薦枠の不安があり、ましてや、私立ほど学習管理の厳しくない学校が多い公立高校では、いずれのルートを目指すにしても自発的に取り組む意思の強さが一層求められます。

一方で、3年間を通して自己管理を徹底し、目標に向かってひたすらに邁進し続けられるだけの意思を持つ子が果たしてどれぐらいいるかと言えば、疑わしい部分の方が大きいでしょう。

そこで重要になってくるのが校風です。

周りに頑張っている子がいれば必然的に引っ張り上げられることも期待できますし、逆に周りがのんびりと過ごしている中で貫くことの大変さは容易に想像できるかと思います。

よほどの強い志望動機や、そこで頑張りぬくことのできる意志がない限りは、より上位校を目指す方が、3年後を考慮すれば可能性は広がると言えるでしょう。