9月10日、例年から遅れること1か月以上、ようやく埼玉県公立高校入試における選抜基準が発表されました。
埼玉県の公立高校入試と言えば、1年生の内申点から評価対象となることが大きな特徴で、毎年、過去の“負の遺産”に悩み、志望校を迷うのが恒例のシーンともなっていますが、コロナ禍もあって何かにつけて例年とは異なる今年の入試において、何らかの変更は認められたのでしょうか?
公立高校入試選抜基準一覧
高校名 | 目安偏差値 | 目安内申点 | 内申点内訳 (1年:2年:3年) |
---|---|---|---|
浦和 | 72 | 42 | 1:1:2 |
大宮(普) | 71 | 42 | 1:1:2 |
浦和一女 | 70 | 42 | 1:1:2 |
市立浦和 | 69 | 42 | 1:1:2 |
蕨 | 65 | 40 | 1:1:3 |
浦和西 | 64 | 40 | 1:1:2 |
川口北 | 62 | 38 | 1:1:2 |
川口市立(普) | 60 | 36 | 1:1:2 |
浦和南 | 60 | 36 | 1:1:2 |
越谷南 | 58 | 36 | 1:1:2 |
南稜 | 55 | 33 | 1:1:3 |
川口 | 54 | 32 | 1:1:2 |
鳩ケ谷 | 50 | 30 | 1:1:2 |
浦和東 | 49 | 29 | 1:1:3 |
川口東 | 46 | 29 | 1:2:3 |
川口青陵 | 45 | 27 | 2:2:3 |
例年と比較して、その内訳に大きな変化はなく、概ね「1年:2年:3年=1:1:2」を中心に、高学年になるにつれて傾斜のかかる設定になっています。
ここで注意しておくべきなのは、上表の目安内申点とは「3年間この数字を取り続ければ合格者平均」という点です。
つまり楽観的な考え方をすれば、本番の得点力(≒偏差値)次第で目安内申点に多少届かずとも合格することは可能ですし、悲観的な考え方をすれば、目安に及ばない場合には3年間かけて積み重ねた負債を払拭できる得点力がなければならないということです。
本番と内申点の内訳例
川口市立高校普通科 合計835点 | ||
本試験(500点) | 調査書点(270点×1.24倍=335点) | |
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内申点 | その他 | |
5科目×各100点=計500点 | 1年:2年:3年=1:1:2=計180点 | 90点 |
上記は近年人気の川口市立高校普通科の1次選抜要綱です。実際にはもっと細かな条件が設定されているのですが、考え方は他校にも通じるごく一般的な設定になっています。
まず、誰しもが思い浮かべる本番での100点×5科目の計500点。一般的に北辰テストなどの模試で測定する偏差値や合否判定などは、まさにこの部分でのポジションを示す目安になります。
しかしここで目を引くのは、やはり調査書点の存在でしょう。300点分以上もの大きな配点がされていることを考慮すれば、たとえ北辰テストなどで良い判定を得られていたとしても、場合によっては本番での挽回は厳しいと判断せざるを得ないインパクトです。中でも注意すべきは内申点の内訳で、埼玉県では1年生から3年間分の内申点がチェックされます。つまり1年生からすでに受験は始まっているのです。
東京では3年生のみ、神奈川県は2年生からですので、特に埼玉以外の地域のご出身の場合、この現実に直面した時に一様に驚かれることになります。
入試という勝負の世界では、基本的に似た学力のライバル同士で鎬を削ることになり、1点差でもそこには何十人がひしめき合うことも珍しくありません。
つまり、わずか1点の差が明暗を分かつことになったとしても、決して不思議ではないのです。
公立志望の場合には、偏差値だけで評価される模試の合否判定に一喜一憂するだけでなく、自身の内申点がいくらで、志望校合格においてどのぐらいの余裕、もしくはマイナスがあるのかを考慮して、志望校選びをするようにしましょう。