少人数&実践重視が現在の主流
大学の科目が教養科目と専門科目から成り立っていることは、今も昔も変わりません。どの科目が単位を取りやすいのか、どの科目が出席管理に厳しいのか、そしてどの曜日に授業を詰め込みどの曜日を休みにしようか等々、情報収集に奔走し、シラバスとにらめっこした春を思い出される方も多いことでしょう。
しかし、大手の大学になると大半が講義形式、学部によるものの卒論作成を兼ねたゼミが始まるのが3年生以降という形式が主流だった保護者世代とは、その形式から様変わりしています。現在では20~30名程度の学生に対して中教室や小教室を用いて授業の行われるケースが非常に増えており、中には1年生の段階からゼミ形式で行われるものも少なくありません。大教室に何百名もの学生が大挙集結していた当時とは、その景色から随分と変わっているのです。
そうした傾向は、大教室で講義形式で行なわれるのが普通だった一般教養科目の授業でさえ例外ではなく、「教養ゼミ」などの名称で、少人数のゼミ形式で、しかも1年生から導入している大学も増えています。
教養ゼミでは、ディスカッションやプレゼンテーションの仕方、ノートのとり方、レポートや論文の書き方・提出法など、高校までと異なる大学ならではの学びの仕方に加え、ディスカッションやディベートなどの実践的な授業を1年かけて行うゼミが増えており、一方的で受動的だった当時の常識からすれば考えられない変化です。
これらは3年時以降の専門ゼミに向けてという観点だけでなく、実社会に飛び出してからも会議や議事録作成、あるいは報告書の書き方等に通じる部分もあり、より実学に重きを置いた授業を展開しようという意図が見えてきます。
さらに、教授陣による一方通行的な講義と違い、ディスカッションやディベート、グループワークなどを取り入れ、体験や調査などを学生が自主的・能動的に行うことを重視したアクティブ・ラーニング型の授業が増えているのも最近の傾向です。教室から飛び出して企業や地域社会が抱える問題に取り組み、個人あるいはチームでその解決に取り組む実地授業などはその典型です。
具体的には医学部や歯学部、薬学部の学生が病院や薬局、介護施設などでの実習を行うイメージに近いですが、他にも農学部などの野外実習、地理学科の地理巡検、社会学部や経営学部などでは、企業や地域を訪ね、関係者から話を聴いて、結果をレポートにするといった授業もあります。
1・2年次に教養科目、3・4年次に専門科目を学んでいくかつての主流も今や過去の学問のあり方になってしまっているのです。
教養科目の意義
法学部であれば法律について、理学部であればひたすら化学の実験というのが、大学の学問に対する一般的なイメージですが、それ以外にも専門とは全く別の学問分野を学ぶ機会=教養科目も、履修を義務化されているケースが一般的です。
「面白そう!」と思うか「面倒くさい」と思うか、意見は分かれるところで、例えば実学重視のために教養科目が削られている大学もあるようですし、逆に東京大学のように、リベラルアーツを柱に掲げ教養科目を守り続ける大学もあります。
教養科目の一番のメリットは、今まで知らなかった分野を学ぶことで、物の見方が広がるということです。最近では、ゲーム理論を利用して生物の淘汰についての説明を試みたり、あるいは文化的感性とは何かについて脳波の観点から迫ったりと、文系と理系の垣根を超えた研究が増えています。
大学での勉強が社会に出て役に立つかどうか、それは進む道にもよるのでさておき、人として教養を身につけることに無駄はないはずです。様々に学びの機会を模索できるという意味では、教養科目には大学の奥深さが凝縮されていると言えるかもしませんね。
大学生に聞いてみた!ウチの大学のオモシロ科目