新学習指導要領、あるいは共通テストの導入といった流れを受けて、もとより全国的にも比較的先進的な取り組みを見せてきた埼玉の公立高校受験戦線においても、近年は新傾向とも呼ぶべき出題が続いてきました。
では、新傾向である以上打つ手はなく、ふたを開けてみるまで分からない手探りな状態で臨まざるを得ないのでしょうか?
実は、新傾向と言いつつも、どういった方向性を向いているのかの傾向は明確にあります。
ここでは過去の平均点の推移も踏まえつつ、どういった得点戦略を持って備えていくべきかを考えてみましょう。
数学
学力検査問題 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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44.0 | 42.3 | 67.9 |
学校選択問題 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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43.7 | 53.5 | 55.2 |
- 学力検査問題では大問1の小問集合が12⇒18問、配点は65点に増加
- 関数&図形分野で約60点
- 立体図形が定番化
- 学校選択問題において、学力検査問題と完全一致は29点分と年々減少傾向
特に近年は関数や図形分野の配点が高まっていることからも、公式類の暗記はもちろん、幅広く様々な演習に触れることで経験値を高めることも、有効な対策の一つです。
さらに、今年はコロナ禍の影響で「円周角」「三平方の定理」等が出題範囲から除外されることになったため、特に2年生までの図形分野の重要性は例年に比べても高くなります。より一層、基礎基本をしっかり固めることの重要性が高くなると考えておくべきでしょう。
また、特に選択問題組に関しては、「相似」が一部除外されることからも、合同な図形の証明や、近年出題が定番化した立体図形対策をしっかりやっておくことが、ポイントの一つになることも想定しておくべきでしょう。
英語
学力検査問題 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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55.9 | 47.7 | 52.2 |
学校選択問題 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|
58.9 | 64.3 | 58.9 |
- 英答問題が増加傾向
- 学校選択問題では配点の6割以上が記述形式
- 2018「AI」、2019「情報リテラシー」、2020「環境のためにできること」と、英作文のテーマが概念的に難解。記述対策はもちろん、時事的な素養の蓄積も必須。
つまり、ただ読めれば良いというものではなく、語法を含め、ちゃんと文法事項を理解することが、特に記述問題の配点が増加傾向にある中では最も重要なポイントとなります。
なお、今年に関しては「関係代名詞」が出題範囲から削除の方針であるため、分詞や不定詞・動名詞といった、関係代名詞同様に修飾語的な役割を果たす事項の存在感は相対的に高まることが想定されますので、そういった事項は特に重点的に対策しておくべきでしょう。
国語
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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52.8 | 58.3 | 57.2 |
- 大問構成は安定傾向も、引き続き膨大な文章量。
- 記述で約40点。要約力の養成が必須。
- 作文の配点が16⇒12点に減少も、依然として全科目中最大配点と重要性は不変。
また、作文以外にも40字程度の記述問題も複数題出題されることが定番になっており、上述の通り、早く正確に読み取り、加えてその内容を要約する練習を重ねていくことが、高得点できるかどうかのポイントになってきます。
理科・社会
理科 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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51.7 | 44.5 | 51.1 |
社会 | ||
2018年 | 2019年 | 2020年 |
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55.9 | 60.3 | 55.4 |
- 特に理科は2019年から資料が激増。一問一答的な知識の詰込みでは対応困難に。
- 時事関係、特にSDGs関連(環境や途上国支援等)や新指導要領関連(防災や多様性等)に関するテーマは要チェック。
- 「完答で正解」「組み合わせを選ぶ」等、正確な知識の定着を問う問題も増加傾向。
特に理科は実験を通じて何が分かるのかといった本質的理解度が問われるようになっていますし、社会では地歴公民の単元を超えた総合問題も出題が定番化しています。
正確な知識の定着は大前提として、理科の実験、社会の資料の読み取りといった、より本質的な学力の養成が高得点のポイントです。