データで紐解く生活習慣と学力の関係

3か月にも及んだ休校の影響は、学習進捗の遅れや夏休みの短縮といったところに留まらず、ある意味ではより本質的な部分で、各自の習慣面が格差を大きくしたのではとの感が否めません。

そこで、文科省が昨春調査を行った「全国学力・学習状況調査」の結果をもとに、様々な観点から成績と生活習慣の相関関係を検証していきましょう。

生活習慣編

Q1にある通り、起床時間に関しては、(全くという回答者を除き)意外にも成績との相関関係はそれほど大きくは認められませんでした。そもそも本来は日常的に学校がある中で、ある程度規則的な生活を強いられている現実も関係しているのでしょう。

Q1.毎日同じくらいの時間に起きていますか?
回答群 国語
(平均正答率)
数学
(平均正答率)
英語
(平均正答率)
平均
起きている 73.6% 60.9% 56.9% 63.8%
どちらかと言えば 73.9% 60.7% 56.7% 63.8%
比較的不規則 68.8% 56.2% 54.0% 59.7%
全く・・・ 58.6% 46.7% 47.4% 50.9%

一方で食習慣に関しては、以前から指摘する声も大きかった通り、見事な相関関係が示されています(Q2)。栄養面にしても体のバイオリズム面にしても、摂った方が良いというのは考えるまでもないことですが、それはデータからも明らかです。

Q2.朝食を食べていますか?
回答群 国語
(平均正答率)
数学
(平均正答率)
英語
(平均正答率)
平均
毎日食べている 74.8% 62.5% 58.0% 65.1%
どちらかと言えば 68.3% 52.9% 51.4% 57.5%
あまり食べない 63.3% 46.9% 47.3% 52.5%
食べない 60.6% 44.9% 45.7% 50.4%

運動習慣編

「健全な精神は健全な肉体に宿る」の言葉もある通り、やはり育ち盛りの中学生にとっては、部活動などの課外活動も必要だという結果が数字にも出ています(Q3)。

Q3.1日あたりどれぐらいの時間、部活動をしますか?
回答群 国語
(平均正答率)
数学
(平均正答率)
英語
(平均正答率)
平均
3時間以上 66.7% 52.7% 51.7% 57.0%
2~3時間 74.0% 61.2% 56.9% 64.0%
1~2時間 76.6% 64.7% 59.2% 66.8%
30分~1時間 73.8% 61.0% 57.3% 64.0%
30分未満 71.3% 58.4% 56.1% 61.9%
全くしない 67.1% 52.6% 51.8% 57.2%

但し、「適切な量」というものもデータからは明らかで、毎日3時間以上もの時間を活動している場合は、心身への負担の大きさや物理的な時間の圧迫が影響しているのか、むしろ部活動をしていない場合よりも成績が低く出ています。

昨今は以前ほど拘束力の強くない部活動が増えていますが、実際に1~2時間程度の前後に高成績者が分布しているように、多すぎず少なすぎず、適切な量の範囲内での部活動は成績に良い影響をもたらすという観点からも、的を射た傾向と言えるでしょう。

学習習慣編

人に指示されるよりも自分で計画を立てらえる子(Q4)、一時的ではなく継続的な学習習慣を構築できている子(Q5)が成績が良いという、至極順当な結果になっています。計画性の有無や学習時間が成績に直結するのは、データを持ち出すまでもないことですが、こうしてみれば明らかです。

Q4.自分で計画を立てて勉強していますか?
回答群 国語
(平均正答率)
数学
(平均正答率)
英語
(平均正答率)
平均
している 76.8% 66.5% 61.7% 68.3%
どちらかと言えば 75.1% 62.7% 58.3% 65.4%
あまりしていない 72.0% 57.9% 54.5% 61.5%
していない 67.3% 53.7% 51.3% 57.4%
Q5.1日当たりどれぐらいの時間、勉強しますか?
回答群 国語
(平均正答率)
数学
(平均正答率)
英語
(平均正答率)
平均
2時間以上 75.5% 65.3% 62.4% 67.7%
1~2時間 75.8% 64.2% 60.4% 66.8%
30分~1時間 74.1% 61.3% 56.8% 64.1%
10分~30分 71.9% 57.4% 53.1% 60.8%
10分未満 68.6% 53.2% 49.9% 57.2%
全く・・・ 61.1% 45.0% 44.6% 50.2%

ただし、特に学習時間に関しては、時間の長さがそのまま成績差に直結しているとは言い難い部分がある点は注目です。

概ね30分以上の学習習慣があれば一定の成績になっている点を考慮すれば、例えば最低限の予習や復習、あるいは計算や英単語、漢字といった、地道な反復練習を日々継続することが良い成績を挙げる上で重要と考えることができるかもしれません。

また、表にはありませんが、新聞の読書率と成績にも相関関係が認められています。活字に触れる量という側面以外にも、近年は時事的性質を持つ問題が出題されやすいということが、データにも表れていると言えるでしょう。