編集長コラムvol.17 公立出題範囲削減で考えるべきこと

去る7月10日、埼玉県でも公立高校入試において以下の単元を出題範囲から削除する旨の発表がされました。

削除単元一覧(5科要約)
  • 国語:3年で学習する漢字、語句、慣用句等
  • 数学:相似(一部)、円周角、三平方、標本調査
  • 英語:関係代名詞、間接疑問文
  • 理科:科学技術と人間、地球と宇宙、自然と人間
  • 社会:公民分野の一部(経済、国際社会の課題)

学校の進捗遅れに対する不安が多少なりとも解消されたという方もおられるでしょうし、先々まで考慮すれば一層不安が大きくなったという方もおられるかも知れません。

様々に思うところはありそうですが、こと入試、志望校合格という観点で考えれば、実は志望校群に応じてかなり取るべき戦略、つまり学習方針の練り直しが必要になってくることが、今回の発表を受けて最も憂慮すべき点と言えるでしょう。

ここで、大まかに志望校群ごとに何がどう変わるのか、考えてみましょう。

公立高校志望者

公立は原則的には中学校での学習内容をしっかり理解しようと努めることが、受験対策の王道となります。この点では、ある意味では例年と最もそん色ない考え方ができる志望校群と言えるでしょう。

ただし、例えば英語において、関係代名詞の含まれない長文というのは正直考えにくいところがあり、問題として問われずとも文章には含まれるというケースは想定すべきです。

つまり、問題として出るか出ないかに関わらず、きちんと理解しておくことは必須なわけで、特に例年高得点ゾーンでの点取り合戦になりがちな選択問題採用校を志望している場合には、早めの対策はしておいた方が賢明と言えるでしょう。

附属高校志望者

附属高校群は、中学履修範囲から、つまり単元を考慮しないというケースが多いものの、もとよりMARCHレベルにもなれば一部高校レベルの学力を問われるケースもあっただけに、それほど影響はないと言えます。

ただし、中学校での進捗を考慮すれば、一層自分で対策を進めることの重要性は増してきます。特にこの夏の過ごし方が持つ意味は、大きくなると考えた方が良いでしょう。

私立高校志望者

最も考慮すべき点が多いのが、確約可能な私立高校を志望する場合です。

既に“自宅受験”の回は参考外と発表済みの私立もある通り、北辰テストにおける偏差値評価が、今年はまだ不透明な部分を残しています。

例えばこの先第4回、第5回も自宅受験になった場合は?など、見通せない事項が多すぎるのです。

つまり現段階で確実に言えることとしては、確かに実施されるであろう定期テストの結果、つまり内申点を確保することの重要性が、例年より大きくなっていくと想定すべきでしょう。

そうなると、例年であれば志望校を私立に絞った場合には、3科の勉強に専念する為、学校の定期テストはほどほどに=理社を後回しにするといった“選択と集中”も受験戦略の一つとして検討材料になってきていたのが、そういった手が打ちづらくなってきます。

ある意味では王道に選択肢が絞られたという見方もできるでしょうが、各々に未来のかかっていることであり、どういった方針を持って志望校を定め、そしてどんな準備を進めていくのか。

高校受験戦線においても、各自の戦略性が未来を分かつことになっていきそうです。