最近では私立中学受験も随分と身近なものになり、実際に一貫校を受験して進学する絶対数も増えた印象は受けます。
しかし、日本全国の中学校に占める「私立+国立」の割合は8.3%に過ぎず、圧倒的多数が公立に進学しているのが実情です。
一方で、東大合格者数ランキングの類を見れば、TOP10入りした全ての高校が私立か国立の一貫校ですし、早稲田も慶應もほぼ同じような状況にあります。
つまり、教育力という観点で見れば、公立中高は明らかに劣っている、それが事実なのです。
やらないできないという言い訳の被害者は生徒
コロナ禍で3か月にも及んだ休校期間中の対応を見ても、その一端は垣間見ることができました。
休校期間中、私立の70%近くでオンラインによる何らかのやり取りがあったのに対し、公立の中でオンライン化を進めた動きはわずか5%に過ぎなったというアンケート結果もあります。
「ご家庭のオンライン環境が・・・」
「教育委員会が・・・」
「そもそも学校のPC環境が・・・」
自治体によっては前向きに取り組みを推進し始めていることも事実ですが、上記の通り、やらない理由できない理由を挙げて二の足を踏んでいる、もしくは実態として何もできていないというのが、公立の現実であり、そしてこういった部分こそが、公立と私立の格差の温床と言えるでしょう。
OECDの調査でも、日本の教育におけるICT機器の普及率は調査対象77カ国中66位、教員のICT教授スキルに至っては77カ国中最下位という結果が出ており、ここまでくると、もはや学校現場に何かを期待する方が、むしろ誤りなのではないかとさえ思えてきますし、少なくとも、それぐらいの危機感を持って自らの学習に対する考え方を変えていかないと、コロナの第2波は言うまでもなく、今後同じような状況がまたやってきた時、抗うことさえできずに波に飲み込まれてしまうだけです。
そしてその被害者は、学校でもなんでもなく、間違いなく生徒一人ひとりなのです。
やってくれることが期待できないなら、自発的にやるしかない
皮肉なもので、この4~5月、筆者が塾長を務める個別指導「こだわり」塾には、例年と変わらぬ数の新規ご入塾者がお見えになりました。
塾に通うことが根本的な解決策になるほど安易な問題とは思いませんが、少なくとも一つの方策にはなります。
特に、塾に通い、授業における学習指導だけでなく、様々に学習方法のサポートを受けられることで自立学習のエンジンが動き始めることの効用は、こうした情勢においては非常に大きな意味を持ってきます。
学校再開から約1か月、学校の教育現場では、何も急ぐような様子もなく、例年と変わりないペースでのんびりカリキュラムを進めている現実がある以上、自ら能動的に動いていかないと、二極化の“下の方”に落ちてしまうことは不可避です。