編集長コラムvol.15 教育格差の本質は親の干渉の仕方に有?

もうかれこれ3か月。ついに、ようやく、学校再開です。

しかし3か月と言えば、1学期分にも相当するあまりにも長すぎる期間。この期間をどう過ごしてきたかで、1学期、あるいは今年度、さらには未来にも大きく影響してくることは間違いありません。

筆者が塾長を務める個別指導「こだわり」塾でも、オンラインで対応したり、あるいは一時休校処置を取っていた際には希望者向け補講を実施したり、授業以外にも様々に生徒たちのフォローに手を尽くしてきましたが、それでもそこに生じた“差”は否定できないというのが率直な感想です。

では、その差は何に起因するものなのでしょうか?

自宅にいる以上は自宅環境と、そして理性

要因を挙げればキリはないものの、一言で言えば、自由にさせ過ぎない環境、または環境に依存せずとも済む理性を育成できているかです。

とは言え、まだ小学生や中学生の段階で、どこまで自らを律することができるのかと考えれば、後者を満たすケースの方がマレでしょう。

となると、必然的に前者の環境面が格差の要因として大きくなってきます。

では、過干渉になり過ぎず、かといって自由にさせ過ぎない環境とは具体的にどういうことなのでしょうか。ここで実際にあった例をご紹介しましょう。

  1. 毎日の達成目標を一緒に管理
  2. 何をやるか、実際にどこまでできたのか、まずは定量的な部分でやるべきことを明確にし、その状況をチェックします。
    単に勉強しなさいと言ったところで、何をすべきか明確にできていればそもそも苦労しません。
    また、やるべきことが明確でなければ、親子間で解釈のギャップが生じ、結局ケンカのもとになるだけです。
    何のどこをやるのか、できれば毎日が理想ですが、2~3日に1度のペースでもOKです。一緒になって計画をたて、そして達成の様子を見守り、できた時には認めてあげましょう。
    もちろん、やるべきことをやっているときには、遊びの時間もしっかり容認してあげることです。

  3. 一緒に答え合わせ
  4. やったと言ってもスペースを埋めるだけのパフォーマンスに過ぎなければ、親としても「そうじゃない!」というストレスがたまる一方です。
    そこで、少し監視の目を強めるという意味と、一緒に協力している感を演出する為にも、やった分の答え合わせを一緒にするようにしてはいかがでしょうか?
    もちろん、学習してからウン十年の親世代に、誤答箇所の指導まで委ねるというのではなく、そこは学校や塾の出番。まずは理解不足な点=今後の学習課題を親子で共に洗い出すという意味でも、一緒に答え合わせをすれば、そこに多少なりとも緊張感が伴います。

  5. 塾を活用
  6. コロナ禍が完全に収束したとは言えない状況下、できれば上記の手段で対策できるのが理想ですが、もしも難しい場合には、塾などの外部を積極的に活用しましょう。
    不幸中の幸い、今回の一連の騒動を経て、塾業界にも一気にオンライン体制が浸透しました。
    上記の内容にとどまらず、各種の学習相談についても対応してくれる塾は増えていますので、是非積極的に外部の力も活用してみましょう。

今からでも遅くはない・・・がもう後もない

休校によって如実に格差が広がるのは確かです。

まだ成績など目に見える形で定量的な比較ができるわけではないものの、特に受験生などはそれが出る時=進路の選択肢が絞られてしまう時でもあり、もう楽観できる状況にはありません。

覚悟と準備ができていないと、大荒れ必至の1年になることは避けられないだけに、なんとかそうした事態を回避できるよう、改めて“平時とは異なる”準備に、家庭一丸となって取り組んでほしいと思います。