時事通信vol.6 100年続く中東の混迷。その真犯人は?

時事を制する者は試験を制す?

時事問題とは一般的に、日本や世界の主要な出来事について考え、答えを導き出す問題のことを指します。
この時事問題、実は近年、入試や学校のテストにおいて出題される傾向が高まっているのです。
18歳選挙権、朝鮮半島問題等々、身近な出来事について、少なくとも説明し、自分の意見を述べることができるようにしておくことが、試験の結果に直結していくのです。
今回は、騒乱の絶えない中東の歴史的事情についてです。

イギリスの対オスマン帝国政策がことの発端

ヨーロッパ列強に侵略されるまで600年以上にわたって、この地域はオスマン帝国の支配下にあり、イスラム教やキリスト教、ユダヤ教などが共存する地域でした。

ところが第1次世界大戦に際し、イギリスの取った外交政策が中東を混乱に陥れます。

イギリスはオスマン帝国打倒への協力の見返りにアラブ人国家建設への協力を約束する一方で、中東をフランス・ロシアと3分割する協定を結んでいたのです。また、パレスチナにおけるユダヤ人居住地の建設支援も約束しています。

結果的に、中東に存在しなかったユダヤ人国家イスラエルの建国を認めた宣言となり、一方でアラブ人に約束した国家建設の約束も反故にされ、トルコからイラク・イランなどに分断された3000万人もの民族集団が発生しました。さらに、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教の共通の聖地のあるエルサレムを分割し、ユダヤ教徒に占有させることをも認めてしまったのです。

イスラエル建国と繰り返される中東戦争、そして欧米の介入

こうして第二次世界大戦後には国連も承認の上でユダヤ人国家イスラエルが建国されることになり、現在に至るパレスチナ難民問題が生じることになります。

パレスチナ人・アラブ人からすれば、ユダヤ人が一方的に国家を設立し、しかもエルサレムという宗教的に意味のある土地を占有される納得のできないものでした。そしてイスラエルが独立を宣言した翌日、周辺のアラブ諸国が武力攻撃を開始し、第一次中東戦争が始まります。

結果的にイスラエルが勝利し、パレスチナの大部分を獲得しましたが、これで解決するわけはなく、以後、国境や聖地エルサレムを巡る争いが絶えることなく続き、現在の混乱へとつながっていくのです。

現在のイラン周辺を巡る騒動に関しても本質的には同じで、アメリカの介入が引き金となっています。中東の歴史は、文字通り欧米によって振り回されてきた歴史そのものなのです。