編集長コラムvol.14 動画を見るぐらいなら教科書を読んで

長引く休校期間も、本稿が公開される頃には2か月に達します。長い夏休みを軽く凌駕するこの休校期間は、部活もなく、基本的に自宅待機を原則とする以上、そこでの過ごし方いかんで、とてつもなく大きな差を生むことになりそうです。

そうした中、巷ではオンライン授業を実施する塾やアプリの類が出回っています。

ただ、いずれも、その効果という側面にフォーカスすれば、正直期待値は高くないというのが偽らざる本音です。

オンライン教材を使用して効果の得られる前提には、自分から学ぼうとする意欲が不可欠で、そこに至っていない状態で無理に導入しても、むしろ気が付けばネットサーフィンやYouTubeに・・・という事態に陥る方がはるかに現実的だからです。

筆者の運営する個別指導「こだわり」塾でも、希望者には補講などを実施して学習状況を定点観測するようにしていますが、やはりこうした状況下において“やっている子”と“そうでない子”には、メンタル面も含めて相当の差が感じられます。

ましてや目の行き届かないところにいる、文字通り自宅待機中の彼ら彼女らはいかばかりか・・・。仮にGW明けに学校が再開されたとしても、その時点で既に非常に大きな格差が生じていることでしょう。

では、学校もない、塾もない、オンライン教材も・・・となった時に、いかに学習習慣を維持すれば良いのでしょうか?

勉強の大原則は「教科書」

前学年までの既習事項の復習ももちろん大切な学習事項の一つですが、もう5月を迎えようかというこの時期になれば、そろそろ学校再開後に備えた準備に着手したいもの。

特に今年は、休校の影響で授業数の確保が大きな課題になってきそうですし、額面通りに受け取れば、その分授業の進捗ペースは相当上がることが想定されます(というより家庭学習を指示した範囲は学校でやらなくても良いとのお達しまで出ているので、そもそも学校でやらない可能性もあります)。

つまり、例年になく予習の重要性が増してくることが予想されるのです。そこで教科書の出番です。

基本的に公立の学校は教科書をベースに授業が進められますし、もちろんそこには必要な学習内容が網羅されています。また、中学生以上になれば避けて通れない試練=定期テストも、原則的には教科書の内容をベースに作問されます。教科書レベルが完璧に理解できていれば、定期テストでもトップ争いができるといっても過言ではないほどです。

もちろん、先取りとなる現段階で完璧な理解を求めるわけではなく、まずはしっかりと目を通し、自分なりにどういったことを学習することになるのかの準備をしておくことが、円滑に新年度をスタートさせる上での重要な一歩になるのです。

主要5科目、それぞれ30分程度の時間でも良いので、まずはそういった基礎の“キ”とでも言うべきところこそ大切に、地に足の着いた学習習慣の確立を試みて欲しいと思います。