まさかの路線変更
私は中学三年生の時、ある大学で英語を学びたいという理由でその附属高校を受験することを決めました。しかし無事受験に合格し、高校生活が始まった時にまず感じたのは、周りと自分との学習意欲の差です。今考えてみれば「附属高校に入学したからには楽をしたい」と考える方が当たり前なのかもしれませんが、“大学で勉強したい”という目標のあった私にとっては少しショックでした。
そうした周りとのギャップを感じていたこともあり、自分の将来について改めて考えることが増えました。また、次第に理数系に興味を持つようになり、英語ではなく数学や物理を勉強したいと思うようになりました。当初考えていた進路とは真逆の道に進むという決断は簡単ではなくしばらく悩みましたが、高校二年生の文理選択の時には、文系ではなく理系の道に進むこと、すなわち内部進学をするのではなく外部受験をすることを決意しました。
いざ受験!学校側のサポートは?
外部受験をすることになっても、「私立なんだから、受験サポートもしっかりしているはずだ」と思っていました。ですがそれは全くの偏見で、内部進学を前提としている私の高校の受験環境は、決して良いとは言えませんでした。大学の進学フェアの日程や推薦入試の詳細などの受験情報は全く知らされることがなく、『受験したいなら自分で調べて』というのが学校側のスタンスでした。
さらに、授業カリキュラムも受験を想定して考えられているものではないので、受験生にとっては進度がとても遅いです。実際私の高校は、センター試験の一ヶ月前にようやく全範囲の学習が終了したぐらいで、本格的な受験対策のための時間が、他の受験生に比べ圧倒的に少なかったと思います。
このように大学附属高校は、大学受験に重きを置く他の私立進学校とは大きく状況が違うと思います。
受験のない同級生とはギスギス・・・
周りを気にせず自分の意思でどんどん物事を進められる人もいるとは思いますが、受験勉強中は特に神経をすり減らすので、やはり周りの環境はとても大切です。
では、附属高校での環境はどうだったかというと・・・あまり良いものではありませんでした。半数を占める内部進学組は受験について無知な上に甘く見ている人が多く、また高3夏頃には早々に進路が決定します。そのため夏以降、緊張感が徐々に増していく受験生と、気持ちが緩んでいく一方の内部進学生達との間にギャップが生じ、学校の授業環境も悪くなっていきました。
元々私が周りに流されやすい性格というのもありますが、そのような環境で勉強のモチベーションを保つのは大変でした。中にはストレスを溜め、人間関係がこじれてしまうなんて人もいました。しかしこのような環境だからこそ気づけた人間関係もあり、外部受験者同士では苦労を分かち合い、互いに高め合うことができ、ライバルでもある貴重な友人を得ることができました。
附属だから安心というわけではなかった
附属高校は確かに学歴が担保されやすいという点で安心感がありますし、何より受験に振り回されることのない3年間を過ごせるという点で、他とは異なる充実した3年間にすることも可能です。
ただしそれも、あくまでも3年間、未来に対する志望が変わらなければという前提です。中学の勉強と高校から先の勉強では全く中身も違いますし、そもそも中学3年生の段階で、自分の将来について明確で揺るぎないビジョンを描くというのも、本当はとても難しいことなのではないかと、今は強く感じます。
そういう意味では、附属高校進学には諸刃な側面もあるのだということと、そこに伴うデメリットもしっかり理解した上で進路を考えるようにしてほしいと思います。
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