なぜ、3年生になった瞬間に志望校変更を余儀なくされるのか
近年の附属高校人気にも象徴されるように、少しずつ私立高校進学を希望されるご家庭が増えています。一方で、少なくとも中学入学段階においては、「できることなら公立で」とお考えになられるご家庭が多数派であることも事実です。
ところが2年生になり、そして3年生になる頃には、望んでか否かはともかく、私立志望に転換したり当初の志望校から下方修正を余儀なくされる現実。
では、なぜ受験生になった段階で、既に志望校をあきらめなければならなくなってしまうのでしょうか?
それは「埼玉県の公立高校入試では1年生の評定から内申点に含まれる」からなのです。どういうことなのか、近年多くの志願者を集めている人気校の「川口市立高校」を例に見てみましょう。
評定1点の差が大きな差になる
上表のとおり、川口市立の目安偏差値は60、目安内申点は37です。
ここで注意すべきは、内申点は3年生の時に取れば良いというわけではなく、「3年間ずっと37を取っていれば合格者平均」という点です。オール4を3年間継続しても足りないという点に、人気校の厳しさが伺えます。
では、もう少し具体的に、上記のA君とB君の例で比較してみましょう。
A君は1年生の時に基準値からマイナス8点、2年生の時にもマイナス5点。つまり3年生になった段階で、すでに13点もの「負債」を抱えてしまっています。一方でB君は、1・2年生合わせて基準値マイナス1点。ほぼ、目安通りの成績と言えるでしょう。
ここで考えるべき選択肢は、大きく分けて3つです。
一つ目は3年生の内申点で取り返す。つまり、川口市立の場合は「1年生:2年生:3年生=1:1:2」になっていますので、3年生で仮に43点が取れれば、3年時の内申点には2倍の係数が掛かるため、実質的に1~2年生時のマイナスをほぼ埋めることができるのです。
二つ目は、偏差値、つまり得点力で補うという考え方です。A君の3年時の内申点も奮闘及ばず36点でした。この場合は、合計15点のマイナスを抱えて本番を迎えることになります。本番でこの15点を埋め合わせられるだけの得点力を備えることができれば、本番での大逆転合格も可能になるのです。
しかし、本番は近い学力を持つライバルたちとの競争になります。1点の中に何十人もひしめいている事態さえ想定されるため、10点の差を埋め合わせるのは想像以上に困難なものになります。
そして三つ目の選択肢が、ズバリ「諦める」ということになります。願わくばこういった選択肢を選ぶことにはならないようにしたいものですね。
受験は1年生から始まっています。後悔先に立たず、早めの準備、もしくはリカバリーを心掛けてください。