去る2月28日、今年度の埼玉県公立高校入試が実施されました。
本稿執筆段階では、まだ8日に控える合格発表の結果については分かりませんが、この公立高校入試、実はここ数年、特に旧南部地区において、その合格水準に異変とも言えるほどの大きな変化が生じているのです。
その大きな要因となっているのが、「学校選択問題の導入」と「川口市立高校新設」の2点です。
2017年から、川口北高校や蕨高校など、偏差値帯で言えば60以上に相当する学校では、英語と数学の2科目について、学校選択問題という従来のものより難易度の高い別の入試問題に取り組むことになりました。この選択問題の難易度が、当初想定されたものよりも相当に高く、これまでの概念と異なる対策や実力が要求されるようになったことで、志望校選びにおいて安全志向の動きが強まることになりました。例えば蕨高校を目指していた生徒さんは川口北高校へ、川口北高校を目指していた生徒さんはより安全な学校へ・・・という具合にです。
さらには2018年、市立川口、県陽、川口総合の3校が合併し、川口市立高校として新校が誕生すると、市の熱意と快適な最新設備に期待する動きから大変な人気を集め、その動きを警戒した層はより安全な層へと志望校を変更する動きが生じました。
選択問題の導入と新校人気、2つの要因が掛け合わさり、安全志向に拍車がかかった結果、玉突き的に上位層が中堅層へ、中堅層から下位層へと受験生が流れ込み、各校の合格水準が一様に上昇することになったのだと推察されます。
下記の合格者平均内申点を見ても明らかな通り、「内申でオール3なら平均だし大丈夫でしょ」という発想では、選択肢が非常に限定される危険があるのです。
川口市近辺の主な公立高校合格目安
69 市立浦和高校(42)
66 蕨高校(40)
63 川口北高校(38)
60 川口市立高校普通科(36)
55 南稜高校(34)
54 川口高校(32)
50 鳩ヶ谷高校(30)
46 川口東高校(28)
44 川口青陵高校(25)
※偏差値は北辰テストにおける合格者の50%ライン(2017年度)
※( )内の数字は合格者平均内申点(2017年度)