英語における外部検定試験の活用に、国語と数学における記述式問題の導入。いずれも結果的に見送られることになり、文科省の肝いりで実施予定だった大学入試改革は、すっかり暗礁に乗り上げています。
もとより準備不足の懸念は指摘されており、振り回される形となった受験生には同情するばかりですが、とはいえ2021年にセンター試験に代わって共通テストが実施されることは、変わりない事実。粛々と、準備は進めなければなりません。
そこで、続々と見送りが決まる改革案の中で、今も実施の方向で進められているものにはどんな案があるのか、再確認しておきましょう。
改革案の実質最後の砦は、それでも英語改革
続々と“見送り”の決まる改革案。残された最後の砦といっても過言ではないのが、英語のリスニングにおける配点の増加です。
センター試験 | ||
試験形態 | 試験時間 | 配点 |
筆記試験 | 80分 | 200点 |
リスニング | 30分 | 50点 |
共通テスト | ||
試験形態 | 試験時間 | 配点 |
筆記試験 | 80分 | 100点 |
リスニング | 30分 | 100点 |
その分、筆記試験では長文化が進んでより高度な読解力が求められるようになったり、あるいはリスニングの重要性が増すことは想定されますが、なんだかバランスの悪さは否めません。
これらの取り組みが、当初意図したことをどこまで反映できるものなのか、ますます「センター試験で良かったのでは?」という声が高まりそうですが、今のところは唯一と言っても過言ではない残された改革案です。
外部検定試験の受験にもう意味はないのか?
今回見送られたのは、あくまでも共通テストにおける「英語成績提供システム」の導入であり、大学入試における外部検定試験の利用がなくなるわけではありません。
そもそも、入試に外部検定試験を活用する動き自体は、特に私立入試においては既に以前から始まっており、出願資格や合否判定に検定試験の結果を用いる大学は一般入試で200校弱、AO・推薦入試ともなれば350校超と、相当のシェアを占めるまでになっているのです。
また、2021年度入試からは、AO・推薦入試でも学力を問う試験を必須化する方針が示されていることもあり、今後もこの流れは続くことになるでしょう。
そういった意味では、改革案がどうなろうと“大きな流れ”自体が変わるわけではありません。メディアの報道に一喜一憂するのではなく、志望校合格に向けて粛々と備えを進めるマイペースさこそ、“勝因”の一つになるのかもしれません。