先日の新聞に、公立小中学校に配備されている学習用コンピュータ数で地域差が広がっているとの記事がありました。
国は「子ども1人に1台」の目標を掲げていますが、東京23区でさえ、最多の渋谷区(1人1台)と最小の練馬区(14人に1台)では実に14倍もの格差があるというもので、全国平均も5.8人に1台ですから、各地に大きな“教育環境格差”が生じている現状がうかがい知れます。
もちろん、児童生徒数が多ければ多額の費用がかかるといった背景もあり、一概に自治体の問題と断じることはできないものの、それでも「現代の読み書きそろばん」とも称される情報教育において、小中学の段階で、しかも公教育において格差が生じているのは大きな問題です。
また、機器の配備が進んでも、そもそも指導に当たる教員の側に十分な知識やスキルが伴っていなければ、それもやはり格差の温床になりかねません。現に文科省が行ったアンケートによれば、小中学校教員の3割がITを用いた指導に不安を感じているとのことです。
筆者が塾長を務める個別指導「こだわり」塾でも、科目や講座によってiPadを活用することは珍しくありませんし、特にITの導入や活用が進んでいる私立に通う生徒さんなどは、学校教材として配布されているタブレットを用いて学習を進めている生徒さんも増えてきています。活用している場ではどんどん活用の幅も広がっています。
個人的にはITを活用すれば成績が伸びるというものでもないと思いますし、そもそも学校教育レベルでどこまでITスキルを高められるか疑わしい部分もあると思っていますが、それでも活用しきれば便利で有効なツールには間違いないですし、何より「機会の平等」という原則にたって考えれば、やはり公教育における環境格差が子ども達の未来に少なからず“差”となって表れることを懸念すれば、最速最短で解消して欲しいものです。
ただし、こうした環境格差の問題を教育現場だけに追求することも、果たしてそれは生産性のあることなのでしょうか?
総務省の調査(2017年)によれば、PCの世帯普及率は72.5%、タブレット型端末のそれは36.4%となっています。つまり、ほとんどの世帯において、すでにPC環境は整っているわけです。
問題は、それらをどこまで使いこなせていますか?という点です。つまり、親のスタンスという点も、確かに格差の温床になっているのではないでしょうか。
ちょっとネットを検索する程度なら手元のスマホで済んでしまう今の時代、もしかするとPCを立ち上げるのは“年に一度、年賀状を作るとき”だけになっていたりしませんか?
塾においても、受講科目数や授業数と成績は必ずしも相関関係にはありません。むしろ自習環境をどれだけ活用できているかといった、与えられた環境の活用度の方が重要な指標だったりします。
そういう意味では、国や自治体に依存するのではなく、親子・家庭ぐるみで、子どもの情報教育について一丸となる取組みも不可欠です。何より、学校の教員よりもビジネスの一線で活躍されている方の方が間違いなくITリテラシーは高いですし、共働き家庭の増えた現在では、何も父親に依存せずとも誰かしら対応できる存在はいるのでしょうから。